Part3

文字数 753文字

楽園での生活の中で王女様はイッてイッてイキまくりました。
……!
より深い絶頂を知りました。
痺れるほどの快楽をその身に何度も刻みました。
!!!!!
とろけるほどの安らぎを、余韻の中で漂う虚無を、味わって味わい尽くしたのです。
……♥
ですが、先輩たちが言うにはもっとその先があるのだそうです。
これ以上に甘美な世界が本当に存在すると言うのかえ?
ええ、あるのですよ。
それは、どこにあるのじゃ?
それは、どこにでも存在します。
どこにでもあるのなら、何故辿りつけぬ? 特別な時にしか行けぬのか?
いいえ、時間は関係ありません。それは過去でも、未来でも、現在でも、時を超えてこの世界を満たしているのです。
ならば、どうすれば行けるのじゃ?
愛することです。他の誰かを。
他の誰かを……!
盲点でした。

なんせ、オナニーですからね!

他の誰かとは真逆の方向、それが自慰なのです。

もっとも、だからといってそれが「自分を愛する」行為かというとそういうわけではありません。
愛とはなんじゃ?
読んで字のごとくオナニーとは「自分を慰める」行為なのでありましょう。

つまり、王女さまは「愛すること」も学ばねばならないということです。
わらわに……それができるであろうか?
できるとも。
遠くのどこかから声がしたような気がして、王女様は天を仰ぎました(厳密には四方八方を天に囲まれておりましたが、気持ち的に上の方を、ということです)。

ですが、そこには誰の姿もなく……ただ、遠く散らばる星の輝きがあるだけでした。

それでも王女さまにはわかりました。
ジョナさん……
それはかつて、遠い遠い昔に、共に夢を語った友の声だと。
そうじゃ……競争であったな。
王女様は呟き、天に向かって応えました。
あいわかった!
そして、向かったのです。
あの桟橋のある、寂しい星へと。

あのときと同じ笑顔で。
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登場人物紹介

王妃様

小さな星でひとり暮し。

パイナップル

頼んだ憶えはないのに届いた。

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