王妃様

文字数 826文字

その小さな星には王妃さましか住んでいませんでした。

王妃さまは黒いパンタロンの似合う、素敵な大人の女性でした。
ひとりで暮らすことの良いところは、寂しいところじゃ……。
寂しいから慰めるという言い訳ができるからのう……。
正直に告白するなら、王妃さまは寂しいことよりも、慰めることのほうが好きでした。
そして、ひとり暮らしのもうひとつの良いところは、誰はばかることなく、好きなときに、好きなように慰めることができることなのじゃ。
慰めるというのは「元気になって」とか、「やればできるとか」とか、「頑張って」とか、そういうことではありません。

それは「励ます」です。

修造のすることであって、王妃のすることではありません。
「慰める」というのはもっとこう……違うのじゃ。気品と切なさが一体となっておるものなのじゃ。
「犬に噛まれたと思って」とかそーいう奴です。
わらわは、自分で自分を慰めるのが大好きじゃ……。
別にワンワン吼えて、自分をガブッてやっていたわけではありませんよ。

やったりしたこともありましたけど。
それはそういう意味でやったわけではありません。

そういうプレイとして、ね。
慰めるというのはけっこう愉しいものでのう……もう、病みつきなのじゃ。
他人に慰めてもらうのも悪くないのじゃが、なかなかシステム的に痒い所に手が届かなかったりしおるからのう。
そういう訳で、王妃さまはけっこう割と、この小さな星での暮らしに満足しておりました。

そして、それにかこつけて、色々と研鑽を積んでいらしたのです。
オナニーしたことある人、手ぇ挙げて~!
なんてことを、もし先生に言われたら、元気よく、
ハ~イ!
頼まれてもいないのに、これまでやった回数分、何度も挙手してしまう。それも両手で。

それぐらい、王妃さまは自分で自分を慰めることが好きだったのです。
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登場人物紹介

王妃様

小さな星でひとり暮し。

パイナップル

頼んだ憶えはないのに届いた。

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