What a beautiful moon
文字数 1,457文字
なんと、いつの間にか王妃さまは他にも伏兵を潜ませていたのです。
いずれも王妃さまが全幅の信頼を寄せる一騎当千の古強者でした。
何も起こりません。
映っているのは相変わらず王妃様ご自身の姿だけでした。
しかし……
映っているのは相変わらず王妃様ご自身の姿だけでした。
しかし……
淑女さまにとっては大打撃だったのです。
それは最愛の人による、裏切りでした。
画期的システムの唯一の弱点でした。
それは最愛の人による、裏切りでした。
画期的システムの唯一の弱点でした。
淑女さまの手にはアイスピックが握られておりました。
え、ちょっと何この展開。このお話でこんなガチ修羅場とかいいんですか? しかも王妃様、完全に悪役なんですけど!
作者の私もドキドキです。
え、ちょっと何この展開。このお話でこんなガチ修羅場とかいいんですか? しかも王妃様、完全に悪役なんですけど!
作者の私もドキドキです。
お待ちください!
あわや血の海、明日のワイドショーで会いましょう。
そんな一触即発危機一髪の瞬間、男の人の声が部屋の中に飛び込んできました。
そんな一触即発危機一髪の瞬間、男の人の声が部屋の中に飛び込んできました。
淑女さまは驚いて目を丸くしました。
それは、自分磨きの旅に出てしまった、あのハンサムで奥ゆかしい素敵な紳士の王子様だったのです。
それは、自分磨きの旅に出てしまった、あのハンサムで奥ゆかしい素敵な紳士の王子様だったのです。
ハンサムだった王子様は見違えるような姿となっておりました。
その身体はピカピカとまるで鏡のように周りの物を映り込ませているではありませんか。
その身体はピカピカとまるで鏡のように周りの物を映り込ませているではありませんか。
淑女さまの胸は王子様のくれた想いでいっぱいとなり、さきほどまでの怒りと絶望はどこかへ行ってしまうほどでした。
奥ゆかしさは変わらぬままに、王子様はただ黙って淑女さまの前に立ち、その肩に両手をかけられました。
もう言葉は要りませんでした。
王子様の全身が映し出すのは、淑女さまの姿ただひとつだったのです。
王子様の全身が映し出すのは、淑女さまの姿ただひとつだったのです。
お二人は互いの体に腕を回し、きつく抱き締め合いました。
そして長い長い口づけの後、王子様は淑女さまをバルコニーへと誘いました。夜空を見上げ……ようやくその言葉を聞かせてくれたのです。
そして長い長い口づけの後、王子様は淑女さまをバルコニーへと誘いました。夜空を見上げ……ようやくその言葉を聞かせてくれたのです。
月明りに照らされた姫君の青白い頬を伝うのは、長年の想いを溢れさせた熱い、熱い涙でした。
その後、通報を受けて駆けつけた警官隊に取り押さえられた王妃様とパイナップルは、そんな美しい月夜を留置場で過ごしたそうです。
とはいえ、留置場というまたとないシチュエーションを逃す王妃様ではなかったようで。
……どうやら、鏡はもう必要なさそうですね。
第五章 星のお月様 Fin