第23話
文字数 1,367文字
「ピンポンパンポーンー……。虎倉街三丁目にお住いの……向井 広助さんが……昨日の午後17時から今朝にかけて……散歩に出かけたまま……戻ってきておりません……。そのまま行方不明になっております……服装は赤色の服。水色のズボン。角刈りの頭で……。見かけた人は……。虎倉街三丁目にお住いの……向井 広助さんが……昨日……」
町内放送だ!
俺は耳を疑った。
「うぎっ! 三丁目の向井さんって……? 今朝会ったじゃんか?! おかしいだろ!」
どこかで聞いたことのある名だった。
近所の向井さんの下の名は確かに広助だった。
「どうするよ。影洋? 確か、向井さんってお前の近所の人だっただろう?」
喧嘩が終わって、公平の奴が俺に聞いて来た。
俺は激しい葛藤をした。
「うぎーーー……」
「……じゃあ、これならどうよ……先公には俺が適当なこと言っておいてやるよ。突発性下痢性歩行障害とかだってな」
「……ありがとな公平! その病名以外は礼を言っておくぜー! それじゃあ、先生に言っておいてくれよな! ……後で絶対に確認するからな……みんなに公平が俺の仮病をなんて言ったか……じゃあな!」
俺は近所の向井さんを探しに登り坂を学校とは逆に下っていった。
でも、走りながら気がついた。向井さん……一体どこを探せばいいんだ?!
よし、まずは何もわからないから向井さんの家へ行ってみよう!
約5分ほど走ると俺の家にたどり着けた。はて? 向井さんの家は……そうだ! 向かいにあるんだった!
「すいませーん……」
赤い屋根の二階建てで、砂利の地面の脇には植木鉢がたくさんならんでいた。俺は向井さんの家の呼び鈴を鳴らしてみる。おじさん以外の人がいるはずだ。そうだ! 奥さんがいるんだった!
玄関を開けたのは、……向井さんだった。
おばさんじゃなくて、当のおじさんの方の…?!
「やあ、影洋くん。学校どうしたんだい?」
「うぎっ…??」
「あれ? そんなに汗を掻いて大丈夫かい? 家で麦茶でも飲む? それと、光ちゃんが駅の方へ急いで走って行ったよ。学校で何かあったのかい?」
「いえ……俺、今から学校行かないと! それでは! 失礼しました!」
自分でもマヌケなのはわかっている。
けど、決して、バカじゃない。
けれども、もっとマヌケな目にあっている。
俺のカンが正しければ……。
内通者が確実にいて、そいつは……。
内通者は、この街だ。
そう、ここ虎倉街だ……。
多分、街中の防犯カメラで俺たちの行動を全て監視していたんだ。
ここ最近の出来事で誰にも知られずに、ここぞとばかりに邪魔が入っているんだし。なんとなくの感だけど、この街の防犯カメラを観ている奴か奴らが犯人だ。
俺は自分の感を信じて、光を探した。
俺をここまでおびきよせて、一体?
妹とバラけさせるため?
いや、違うな。
俺の家から妹が走った方角は、駅だ。
そして、わざわざ向井さんが俺に知らせてくれることも、当然そいつは知っているはずだ。
駅はここから西の心影山の方角の逆だ。
杉崎がバイトしていたホームセンターの脇辺りにある。
家から東の方へ行くと、家屋の間に挟まっているようなこじんまりとしたホームセンターが現れ、そこを通り過ぎると、脇に人気のない駅がある。虎倉駅だ。
いずれは妹に追いつけられるはずなんだ……。
町内放送だ!
俺は耳を疑った。
「うぎっ! 三丁目の向井さんって……? 今朝会ったじゃんか?! おかしいだろ!」
どこかで聞いたことのある名だった。
近所の向井さんの下の名は確かに広助だった。
「どうするよ。影洋? 確か、向井さんってお前の近所の人だっただろう?」
喧嘩が終わって、公平の奴が俺に聞いて来た。
俺は激しい葛藤をした。
「うぎーーー……」
「……じゃあ、これならどうよ……先公には俺が適当なこと言っておいてやるよ。突発性下痢性歩行障害とかだってな」
「……ありがとな公平! その病名以外は礼を言っておくぜー! それじゃあ、先生に言っておいてくれよな! ……後で絶対に確認するからな……みんなに公平が俺の仮病をなんて言ったか……じゃあな!」
俺は近所の向井さんを探しに登り坂を学校とは逆に下っていった。
でも、走りながら気がついた。向井さん……一体どこを探せばいいんだ?!
よし、まずは何もわからないから向井さんの家へ行ってみよう!
約5分ほど走ると俺の家にたどり着けた。はて? 向井さんの家は……そうだ! 向かいにあるんだった!
「すいませーん……」
赤い屋根の二階建てで、砂利の地面の脇には植木鉢がたくさんならんでいた。俺は向井さんの家の呼び鈴を鳴らしてみる。おじさん以外の人がいるはずだ。そうだ! 奥さんがいるんだった!
玄関を開けたのは、……向井さんだった。
おばさんじゃなくて、当のおじさんの方の…?!
「やあ、影洋くん。学校どうしたんだい?」
「うぎっ…??」
「あれ? そんなに汗を掻いて大丈夫かい? 家で麦茶でも飲む? それと、光ちゃんが駅の方へ急いで走って行ったよ。学校で何かあったのかい?」
「いえ……俺、今から学校行かないと! それでは! 失礼しました!」
自分でもマヌケなのはわかっている。
けど、決して、バカじゃない。
けれども、もっとマヌケな目にあっている。
俺のカンが正しければ……。
内通者が確実にいて、そいつは……。
内通者は、この街だ。
そう、ここ虎倉街だ……。
多分、街中の防犯カメラで俺たちの行動を全て監視していたんだ。
ここ最近の出来事で誰にも知られずに、ここぞとばかりに邪魔が入っているんだし。なんとなくの感だけど、この街の防犯カメラを観ている奴か奴らが犯人だ。
俺は自分の感を信じて、光を探した。
俺をここまでおびきよせて、一体?
妹とバラけさせるため?
いや、違うな。
俺の家から妹が走った方角は、駅だ。
そして、わざわざ向井さんが俺に知らせてくれることも、当然そいつは知っているはずだ。
駅はここから西の心影山の方角の逆だ。
杉崎がバイトしていたホームセンターの脇辺りにある。
家から東の方へ行くと、家屋の間に挟まっているようなこじんまりとしたホームセンターが現れ、そこを通り過ぎると、脇に人気のない駅がある。虎倉駅だ。
いずれは妹に追いつけられるはずなんだ……。