第1話 ようこそ影の世界へ

文字数 304文字

「この世には、悪い影があるんだよ。影といっても誰しもがもっている。そう、だいたい後ろに憑りついているアレさ。ほれ、あんたの後ろにもあるだろ」

 幼い頃におばあちゃんは俺に真顔で言っていた。
 今では覚えているような覚えていないような……そんな感じだ。

 おばあちゃんの言葉は続く。

「そいつが突然ナイフを振り回して本体を傷つけてきたら、どうなる? 影洋ちゃんはたちまち怪我をして倒れるだろうさ」

 俺は幼い頃からおじいちゃんとおばあちゃんと妹と暮らしていた。両親はいない。物心ついた時にはすでにいなかったんだ。子供の頃は、おばあちゃんの影の話が俺をいつも怖がらせていた。

「あんたの両親は……二人とも影に殺されたんだよ」
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