第22話

文字数 590文字

「まだ間に合う。まだ間に合う。全然勉強してないけれど。まだ間に合う」

 書統高校まで急いで走る。

 林道の登り坂を上がっている途中で、たくさんの影が現れた。
 うぎっ! いつの間にか囲まれている!
 俺の影が呼んだ刺客か?!
 それとも、内・通・者?
 
「うん? どうした?」

 後ろから突然声を掛けられた。
 それも知っている声だ。

「公平!! 今は緊急なんだ! 手を貸してくれ!!」

 不良の公平はとても強い。
 喧嘩上等殺法という我流の使い手だ。
 急に水滴が空から降ってきた。
 雨だ。

「オウ! そういうことなら、……本気で久々の喧嘩をしてやるゼ!」

 ツッパリカットの似合う公平はゴキゴキと首を鳴らし始めた。
 影たちが少し後ずさった。
 よし! これなら……!
 あの恐ろしい先生を怖がらないのは、クラスで公平だけだった。

「ウラ―! 緊急事態なんだーー! 試験に間に合わなかったら大変なんだーーー!!」

 俺は心影流で一番の奥義。
 一撃必殺の一矢刺突の舞討という技を繰り出した。
 舞うような動きで、それぞれの影の喉を貫手を繰り出していく。
 貫手が当たった影から昏倒していく。
 それまで俺は舞った。
 この舞を舞っている間は誰にも近づけないし、舞に翻弄されて喉ががら空きになるんだ。

「う! 相変わらずに強いな……。お前……」

 公平は得意の爆裂拳を使った。

 数分後にあれほどいた影があっという間に昏倒していた。

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