第18話

文字数 659文字

「こんにちはー。影洋くん。今日も元気だねえ」
「うぎっ!?」
「こんにちはー。向井さん」

「今日もいい天気で」
「ほい。太陽もサンサンですよね」

 我が妹と近所の向井さんの穏やかな会話に……頭が混乱してついていけない!?
 なん? 向井さんがなんでいるんですか?
 ここって、影の王国でしたよねえ?
 そういえば、空を見上げると、今まで意識しなかったが太陽が昇っていた。
 辺りはサンサンとした日光で照らされている。
 
 ここは、お・も・て……の世界だ。
 
「これから学校かい?」
「ほい! おにいちゃん。ということで、急いで学校行こう!」
「……」

 かくして、書統学校まで俺たちは走っていた。
 朝日に照らされた校門まで林道の登り坂を走っていると、公平が俺たちと同じく校門目指して突っ走っている。うぎっ! 公平の奴! 不良に戻ってる!

 昔風のツッパリカットの公平は唾を吐きながら走っていた。
 
 うん!
 あ、あそこに見えるのは!!

 真っ白な陶器のような。それでいて真珠のような透き通る肌の持ち主……そして、黒の長髪のなんとおしとやかな! 俺の大好きな恵さんだ!!

 ラッキーーー!!

「ほにいちゃん? ここって、多分……影の世界じゃないよね」
「……今頃、気が付いたか我が妹よ……」
 
 恵さんと公平が校門を通って行った。
 俺は少し立ち止まって書統高校の後ろ側を覗いた。
 無い!
 心影山が!
 やっぱりここは表の世界だ!!

 恵さんと公平が校門を通って行った。
 俺は少し立ち止まって書統高校の後ろ側を覗いた。
 無い!
 心影山が!
 やっぱりここは表の世界だ!!
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