第10話

文字数 1,261文字

「うぎっ?!」

 …………
 
「なんか言った? ほにいちゃん?」
「うん? いや……」

 中には俺と妹がいた。
 普通に生活をしているようで、大好物のショルダーベーコンをもう一人の俺が食べている。妹の光はパンを頬張り。これから学校のようだ。

(??? う、なんだってんだーーー!! ここはーーーー!!)

 俺は訳が分からず。
 半狂乱になっていた。

 そうだ!
 こんな時こそ女神様だ!!

 俺は家の外へ全速力で走って行った。
 近くの比水公園でストップすると、女神様を呼んだ。

 途端に、神々しい光と共に女神様が俺の前に現れた。

「影洋……。どうしてここへ来てしまったのですか? まだ、ここはあなたが来るには……早過ぎるのです……。……ここはあなたのいた元の世界です。そう、ここではあなたが影であなたの影があなたなのです。今では元の世界。いえ、表の世界はあなたの影が王国を築き上げ。あなたの姿を横取りした世界になりました」

「うぎっ! どういう意味ッスか? 女神様ーー?!」
 俺は混乱は治まったが、今度は冷や汗がでた。

「迂闊でした。あなたが影の世界にいる間に、あなたの影はこの表の世界で王国を作っていたのです。そうです! ここはあなたの影の王国です! ですが、まだ大丈夫です! さあ、影洋。今度は影の世界へと戻り。仲間と共にあなたの影を打ち倒すのです!」

 …………

 俺の中にまた新たな目的ができた。
 そのお陰で有り難いことに、ひどい混乱がふっ飛んだぜー!

「よっしゃーーーーー! ……あざます!! 女神様! お陰様で混乱した頭が少しスッキリしましたよ!!  俺の影めー! こうなりゃ、こっちから影の王国ごと滅ぼしちゃうからな!!」

 俺は駆け足で教会へと戻っていった。
 そこで、重大なことに気が付いた。
 
 あ!! やべぇ!!
 
 女神様におじいちゃんとおばあちゃんのことと、影斬りの刃のことを聞くのを完全に忘れていたーー!!
 
 だけど、もう教会は目と鼻の先だ。
 真っ白く大きな教会は、厳かに佇み。こちらを建物自体が見下ろしているかのようだった。
 
 よし! 戻ったら心影山に行く準備をするぞーーー!! 
 
 俺は教会の右の部屋へと急いで向かった。
 だが……。

 うぎっ?!

 俺は立ち止まった。
 部屋の中には大きな影が三つあったからだ。
 影たちはこちらに即座に反応して構えた。
 どうやら、型からするとボクシングのようだ。

「ひょっとして、俺の影からの刺客か?! あいつ俺の家で俺に気付いていたんだ!!」

 俺も心影流の型を構えた。
 
「お前たち。そいついには迂闊に近づかない方がいい」

 部屋のドア付近の窓から俺の影の声がした。
 俺は内心冷や汗を掻いた。

「そうだな……全員で一度に体当たりをするんだ!!」
「うぎっ?!」

 俺の影の言葉に。
 俺は心影流の構えを解いた。
 咄嗟に逃げの態勢を作る。

 心影流には少しだけ弱点があった。
 大男の体当たり。
 それも大勢に囲まれたりした時の体当たりは避けるしかない。

 俺の姿をした影が素早く窓から右の部屋のドアに立った。

 退路が絶たれた!
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み