第19話

文字数 545文字

 教室に入ると、みんな元に戻っていた。
 学校の先生も授業も全部いつも通りに時は過ぎていく。

 放課後になると。

「ふぁーーーー」

 大欠伸をしている俺は、今日は恵さんと公平と一緒に掃除当番だった。
 うん。今日も平和だ。

「影洋くん。聞いた? 昨日からこの学校の裏にあった山が忽然と消えたって……」
「うぎっ! それ本当ですか? 恵さん!? 裏にあった山って心影山?」
「うん……それにいつも夜だったのに、いきなり朝が来て……」
「???」
「今朝起きたら住んでいた屋敷がかなりこじんまりとしていて、黒かった肌も普通の色白になってて……私もびっくりしているけど、みんな不思議がっているわよ」
「ああ、俺もそうなんだ。朝起きたらこんな髪型になっててよお」

 なんて、不吉な!
 ここは一体……?
 単に影の世界から表の世界になっただけかーーー!
 でも、恵さんと公平……話し方が変?
 というか、元に戻ってるぞ!?
 もしかして、性格は元に戻ってる?

「なんか体の調子はいいんだがなあ。朝から誰かを殴ってスッキリしたくて仕方がないぜえ。まったく混乱するよなあ」
「私は朝から裁縫をしてくて仕方なかったわ」

 うーん。
 こっちまで混乱してくる。
 たぶん、影が表の世界の住人になってきているんだろう。
 
 うん。そういうことにしよう。 
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