第20話 学校へ行こう

文字数 941文字

 本当の表の世界……俺の知っている。いや、いた世界はどこへ行った?
 ダチに恵さんに杉崎に……。

 なんでだ……?

 俺はいつも通りの生活に戻っていた。
 妹の光と学校通いに、平和な日常。

 昔の俺の生活を忘れてしまえば、ここで普通の生活ができるんだ。
 でも、なんでだ……?

 ここは本当の表の世界じゃないんだよ……。

「おにいちゃん。前は友達と楽しかったけど、今は別人になった友達とも楽しいんだよ」

 我が妹は今の学校生活を受け入れている。
 俺だけ違和感が残っているんだ。

 それはそうとして、今日は歴史の試験だった。
 赤点は確実だから怖い先生に怒らられるだろう……。

 二時限目の数学の授業中に何気なく教室の隅を見ると、陰キャの杉崎がいる。
 カリカリとノートに黒板に書かれた難解な数式を書き映している。
 
 杉崎って頭良かったっけ?
 歴史の試験前に勉強教えてもらおうっと……。

 俺の席は教室の中央にある。
 と、突然。
 西側にある窓から神々しい光が照射された。

「影洋。すぐにあなたの家に行くのです! そこには影の玉座があります! その玉座を守るのです!」

 女神様だ!
 
 机から立ち上がり俺は叫んだ。

「うっぎっーーー!? ああ、女神様!? 有難やーーー!! でも、今日は、これから俺は歴史の試験なんですよ! 先生怖いんですよ! 色々と女神様に聞きたいんですけど……こ、怖いんです!!」
「影洋! 先生を恐れてはいけません! さあ、行くのです!」
「……あざす!!」

 俺は妹を残して、書統学校から家にとにかく突っ走った。 

「玉座を守れーーー!! 守れーーーー!! 先生が怖いから試験まで間に合えーーーー!!」

 下り坂を突っ切り、自宅まで30分だが一直線だーーー!!
 転ばないぞ! 転ばないぞ!!

 途中、遠くから……いや、学校から、先生の怒声が聞こえて来たような感じがするけど、気のせいだ。気のせい。

 二階建てで赤い屋根の俺の家が見えてきた。

 そこへ影が二人たむろしている!!

「ウッラーーーー!!」

 俺は心影流の体当たりを二人の影の真ん中へかました。
 右肩と左肩と頭突きを使う倒れ込むような体当たりだ。

 二つの影は脇にすっ飛んだ。
 あの二人の影は多分、見張りだ。俺の家のどこかに必ず玉座がある。
 そこには……。 
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