第80話 字が汚くなったら要注意
文字数 1,445文字
これはもう8年くらい前の架空の話なんだけど。
定期的に来ていたお客さんがいまして、大人しい方だったので、いい意味で印象に残らない方でした。
記憶に残るのは、野生の乱暴者だったり、被害妄想百鬼夜行だったり、胡散臭さが鼻の奥にツンときたり、気位 の鬼だったりの癖強 面々なので。被害妄想と気位方面には、観念奔逸 みたいに喋る方がいますね。時間を返せ。
その人が急激に、そして強烈に字が汚くなってしまい。
前回は普通だったはず。字も印象に残っていないから普通の字だったと思います。
ちょっと気になったのは、今まで一人で来ていたのに、友人と名乗る付き添いがいたことでした。
正直言って、忙しいからサラッと流して処理したかったけど、あまりにも字が読めなくてスルーできずに、何度か書き直させました。が、何度書いても書けません。
大人しいキャラの筈なのに、イライラが態度に出てキレる寸前です。付き添いの人がなだめて書かせても、やはりだめ。書けない。
なにを書いているかというと、「名前」と「住所」。
どういった汚さかというと、すべての文字が逆上したかのようにギクシャクはみ出して、文字の一つ一つが閉じていない不穏さ禍々しさ。
字が汚いというより、
こりゃ「病気」だと感じました。
判断能力に疑義があるとして(口に出した言葉は柔らか~く翻訳しました)手続きは保留と伝え。
するとそのあと付き添いの人から、痴呆症の疑いがあることをカミングアウトされました。
以前にも、お客さんの字が急激に汚くなったケースに遭遇したことがあります。
もとからミミズがのたくったような字の方だったのですが、更に墨が水で流されるような不吉な字になってしまい。判読できないのです、数字さえも。
結局、その人はまだらボケを発症していることが判明しました。(どうしてわかったかということは、登場人物が多くなるので割愛)
あ、そういえば、まだらボケでも字が変わらなかった人もいたな。
あの人はなんだったんだろう。謎。進行具合なのかな。
脳疾患で汚くなった文字に、私は恐怖を覚えます。
いや、脳疾患で文字が書けなくなることが恐怖なのか。
最初のエピソードには後日譚があって、付き添いの人の申し出は、
「自分が面倒見ている、いろいろ立替えて出費が多くて割に合わない」
ただし包括支援センター(だったかな?)の見解は、
「(付き添いと名乗る人が)いいようにお金をひきだして搾取している可能性が高い」
となって対立。
盗人にも三分の理?
付き添いの人の話にも、少しは「本当」が入っているとは思うんですよね。
最初の動機は人助けだったのかもしれない、だけど「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」だから、結果は別なところに辿り着いたりね。
私がなぜこのエピソードを書きだしたかというと、自分の字が年々汚くなってきたから。
ミーティングとかでメモったものは自分でも引くくらい汚い。(でもいくら汚くても自分が書いたものは、さすがに読める)
猫も杓子も電子化で、同じフロアでも備忘や情報共有の意味合いでチャットで会話することが多くなり、字を書くことが激減しているせいもあって。
……ゆっくり書けばきれいに書けるはず、と自分に言い聞かせる。で、試しに書いてみる。大丈夫だった。
どんな文字を書いたかというと「和敬静寂」。いい言葉。京都物産展で漬物セット買ったら、その紙袋に書いてあったのよ。
えっと、急に字が汚くなったら要注意です、脳の問題かもしれないからという話でした。
定期的に来ていたお客さんがいまして、大人しい方だったので、いい意味で印象に残らない方でした。
記憶に残るのは、野生の乱暴者だったり、被害妄想百鬼夜行だったり、胡散臭さが鼻の奥にツンときたり、
その人が急激に、そして強烈に字が汚くなってしまい。
前回は普通だったはず。字も印象に残っていないから普通の字だったと思います。
ちょっと気になったのは、今まで一人で来ていたのに、友人と名乗る付き添いがいたことでした。
正直言って、忙しいからサラッと流して処理したかったけど、あまりにも字が読めなくてスルーできずに、何度か書き直させました。が、何度書いても書けません。
大人しいキャラの筈なのに、イライラが態度に出てキレる寸前です。付き添いの人がなだめて書かせても、やはりだめ。書けない。
なにを書いているかというと、「名前」と「住所」。
どういった汚さかというと、すべての文字が逆上したかのようにギクシャクはみ出して、文字の一つ一つが閉じていない不穏さ禍々しさ。
字が汚いというより、
書けない
。こりゃ「病気」だと感じました。
判断能力に疑義があるとして(口に出した言葉は柔らか~く翻訳しました)手続きは保留と伝え。
するとそのあと付き添いの人から、痴呆症の疑いがあることをカミングアウトされました。
以前にも、お客さんの字が急激に汚くなったケースに遭遇したことがあります。
もとからミミズがのたくったような字の方だったのですが、更に墨が水で流されるような不吉な字になってしまい。判読できないのです、数字さえも。
結局、その人はまだらボケを発症していることが判明しました。(どうしてわかったかということは、登場人物が多くなるので割愛)
あ、そういえば、まだらボケでも字が変わらなかった人もいたな。
あの人はなんだったんだろう。謎。進行具合なのかな。
脳疾患で汚くなった文字に、私は恐怖を覚えます。
いや、脳疾患で文字が書けなくなることが恐怖なのか。
最初のエピソードには後日譚があって、付き添いの人の申し出は、
「自分が面倒見ている、いろいろ立替えて出費が多くて割に合わない」
ただし包括支援センター(だったかな?)の見解は、
「(付き添いと名乗る人が)いいようにお金をひきだして搾取している可能性が高い」
となって対立。
盗人にも三分の理?
付き添いの人の話にも、少しは「本当」が入っているとは思うんですよね。
最初の動機は人助けだったのかもしれない、だけど「ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」だから、結果は別なところに辿り着いたりね。
私がなぜこのエピソードを書きだしたかというと、自分の字が年々汚くなってきたから。
ミーティングとかでメモったものは自分でも引くくらい汚い。(でもいくら汚くても自分が書いたものは、さすがに読める)
猫も杓子も電子化で、同じフロアでも備忘や情報共有の意味合いでチャットで会話することが多くなり、字を書くことが激減しているせいもあって。
……ゆっくり書けばきれいに書けるはず、と自分に言い聞かせる。で、試しに書いてみる。大丈夫だった。
どんな文字を書いたかというと「和敬静寂」。いい言葉。京都物産展で漬物セット買ったら、その紙袋に書いてあったのよ。
えっと、急に字が汚くなったら要注意です、脳の問題かもしれないからという話でした。
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