1-11 誰が為の怒り

文字数 7,379文字

 剣、村山のペアに別れを告げた後、志賀が次の目的地に指定したのは、伊霧芽郁の通っていた高校だった。夏波は教師、志賀は生徒と役割を分けるのは必然であり、志賀も異論は唱えない。
 夏波としては正直年上の相手の方が気が楽なのだ。機捜の初動捜査と同様に手早く情報を集めてから、志賀の姿を探し当てると、案の定な光景が広がっていた。

「てかマジな話何年生なん?」
「警察だっつってんだろ」
「しつけーなぁコイツ。伊霧にはちゃんと内緒にしとくって、な?」
「伊霧芽郁についてはもういい。“鯨”を知らんのかって訊いてんだこっちは」

 昼時の購買前、数名の男子高校生に囲まれる形で彼は冠を曲げていた。男子高校生側も志賀がウソをつき続けていると捉えているのか、若干意固地な態度を取っているように見える。あからさまに対話が平行線だ。
 姿を見つけた瞬間に「あぁ……」と口から声が落ちてしまったが、直ぐに気を取り直し、

「志賀さん! 何か分かりましたか?」

 と声をかけながら近寄った。ギョッとした様子で男子高校生が顔を向け、夏波をまじまじと凝視する。振り返った志賀が

「共有は後だ。お前、こいつ等から話聞き出せ」
「鯨ですか?」
「伊霧芽郁についてもだ」

 志賀と夏波の対話を見て、男子高校生はお互いの顔を見合わせ「マジ?」「ヤバ……」とひそひそ言葉を交わす。志賀はそんな彼らを一瞥して、夏波の斜め後ろに場所を移した。

「あー……えと、こんにちは。僕ら中央警察署から来ました。少しだけお時間頂いてもよろしいですか?」
「あ、はい、なんかすんません」
「いえこちらこそ……」

 後ろから踵を蹴られたが無視をする。

「あの、僕ら今、伊霧芽郁さんって方についてちょっと調べてまして。どんな人かとか教えてもらえないでしょうか? 後は、もし気になる事とかあったらどんな些細な事でも良いので、それも……」
「伊霧、何かあったんすか?」
「ええと、行方不明の届け出がありまして」

 しどろもどろにならずに嘘をつけたのは、職員室でも同じ質問をされたからだ。両親が亡くなった事はまだ警察として公表できていないので言えないが、行方不明もまた事実なので問題はないだろう。

「えー……マジか。大丈夫かな」
「ユーカイ的な? アイツが家出はありえねーもんな」
「ありえないんですか?」
「絶対ありえねーっすよ。家族大好きっ()っすもん」

 お前おっさんくせー、と他の男子から囃し立てられつつ、長身の少年は続ける。

「めちゃ良い奴ですよ、伊霧。頭良いし」
「僕はよく知ってるって訳じゃないから、なんか普通の女子って感じ」
「オレも。大人しいよりは明るめってくらいしか知らねー」

 質問に答えているというよりも、ほとんど男子同士の自由会話である。志賀は一通り彼らの話を黙って聞き終えると、続いて“鯨”についてを問いかけた。

「動画配信者の事すか?」

 人の良さそうな男子高校生が1人手を上げた。「動画配信者?」と聞き返す夏波の横で、答えた彼は携帯端末を取り出し、操作をし始める。

「あー、……と。……あれ?無くなってね?」

 暫くして不思議そうに首を捻った。隣に立つ長身の男子生徒が端末を覗き込み、「あー」と声を上げる。

「それ、毎回悪趣味な動画あげてるアカの事よな?多分またアカバンされてるから、検索しても無いと思うわ」
「……アカ……?バン……?」
「動画サイトの禁則事項に触れた動画をあげて、アカウントを停止されてるって意味だ」

 聞き慣れない言葉に困惑する夏波の後ろから、志賀が仏頂面のまま口を挟んだ。
 先程まで志賀を散々学生扱いしていた男子生徒達は、若干冷や汗をかきつつ首を縦に振る。

「あ、そ、そーっす。なんか度々事故だの自殺だのの動画上げてるやばいアカウントなんすけど、それの名前が毎回『鯨』なんすよね。それのことかなって」

 数日前、三科と村山も似たような事をしていた覚えがある。“神隠し”の事故現場が映った動画が拡散されたというあの話こそが、“鯨”によるものなのだろう。
 合点がいったようで、しかし更なる疑問を生む話だ。夏波は更に質問を重ねたが、男子高校生達が知っているのはどうやらこれきりのようだった。

「情報感謝する。……行くぞ」
「あ、ちょっと志賀さん?! ご、ごめんなさい、ご協力ありがとうございました!」

 興味を失ったと言わんばかりに背を向ける志賀の後を、男子高校生に頭を下げてから追いかける。
 校舎から出るまで、昼休み中の生徒達の視線は常に志賀と夏波を捉えていた。校内に私服姿の人間がいるのはかなり珍しいのだろう。足早に校内から出て、車両を停めていた駐車場へと向かう道中、夏波は恐る恐る志賀へと声をかけた。

「あの、……志賀さんは“鯨”の事、知ってたんですか?」
「聞きかじりだ。さっきの男子高校生と同じ程度の情報しか無い。動画も数度見かけた程度だ」

 お前の方は収穫あったのかと問われ、夏波は志賀にメモを手渡す。
 内容は伊霧芽郁についてが主だ。正義感の強い真面目な性格、問題行動なし、成績は中の上。彼女は至って普通の女子高生だった、というのが夏波の結論だ。鯨については残念ながら成果を得られていない。
 志賀は夏波から渡されたメモをまじまじと見つめながら、携帯の端末を操作していた。

――そういえば、僕も早めに端末買い直さないと。

 目の前の信号が青に切り替わった。音響式信号機が軽快な擬音を鳴らしている。周囲の人間は足早に、或いはスマートフォンを眺めつつ歩みを進め始めたが、志賀はその場で立ち止まったままだ。

「……一旦署に戻る」

 不意に声を上げた志賀に、夏波の口から「え」と声が溢れた。
 
「伊霧芽郁の自宅には行かないんですか?」
「あそこは両親のご遺体を運んだ時に調べ終えてる」
「でも本人が家に戻ってるかもなんじゃ」
「まだ鑑識やらがちらほら出入りしてる場所だ。見つかったら連絡が来る」

 言われるがまま、夏波は横断歩道を渡る志賀に着いて歩く。車までたどり着き、当然のように助手席に乗り込んだ志賀を横目に、夏波も運転席の扉を引き開けた。
 昼を回った時間帯。胃が空腹を訴えている。そういえば朝食も食べ損ねているので、腹が空いているのも当然だ。署に戻ったら自販機でカロリーメイトでも買って食べよう。不摂生と言われても食べないよりはマシなのだ。
 しかし、警察署に辿り着いた夏波には、そんなささやかな食事でさえ許されなかった。

「よぉ、元気そうじゃねえか夏波」

 特殊対策室に戻った夏波を出迎えたのは、言葉の軽さとは裏腹に地獄を這うような低い声だった。盛大なため息を吐き出し、志賀が部署内にいた男に言う。

「勝手に入るな」
「お言葉ですけどね、そっちが勝手にウチの相方引っ張ってったんすよ」

 青筋ってマジで立つんだ。なんて、その場にそぐわない脳天気な思考に脳が逃げた。
 部署の応接ソファーに座って待っていたのは、機捜の相方である三科だった。藍色がかった短髪は一部が寝癖で跳ね、格好も完全に私服であるにも関わらず、普段の飄々とした雰囲気を1ミリも感じさせない。警察学校で知り合って以来、こんなに怒っている三科を夏波は初めて目の当たりにしていた。
 気まずそうにちょこんとソファに座って居たのは、宮藤である。

「宮藤、何で取り次いだ」
「機捜の隊長が、あんまりにも無茶な人事すぎるってお怒りの連絡取ってきたのよ。流石に無視できないし、直接謝罪を入れようと思って予定空けたら、来たのがこの子で」
「隊長が行けって言ったんで」

 機動捜査隊の隊長は気が良く非常に義理堅い人物だが、怒ると一気に気性が荒くなる。恐らく三科の言動に責任を取る事覚悟で抗議させに来たのだ。今回の杜撰な引き抜きで煽りを食らう張本人は三科なので、彼を直接乗り込ませた方が特殊対策室へのダメージになるし、あわよくば夏波を連れ戻すことができる。という算段だろうか。そうだとしても随分無茶苦茶だ。
 ってか、それなら三科も休日出勤じゃん。手当付くといいね、なんて、夏波の思考は明後日の方向に向かっていく。

「彼が夏波君と直接話すまで帰らないって言うから呼んだのよ。ごめんね」
「あ、いえ、実際ちゃんと話さなきゃだったので……」

 といいつつ、絶賛大混乱だ。ぐるぐると目を回すかの如く視線を彷徨かせる夏波に、三科は早速詰め寄った。

「お前、異動するって事を俺に隠してた訳じゃないんだよな?」
「ち、違うよ! 僕も今朝初めて知ったんだもん。もし事前に知ってたら、引き継ぎとかあるから絶対三科に言ってる!」
「端末はどうしたんだ。壊れたって聞いた」
「お、落とした……」
「お前マジで嘘下手な」

 そこまで詰めると、今度は志賀を睨む。志賀は表情を変えずに、じっと三科を見ていた。
 
「何で夏波を引き抜いたんすか。しかもこんな嫌われ部署に、いきなり!」
「三科!」
「だーってろお前!」

 ぐしゃりと頭を掌で抑えられ、ぐぇ、と情けない声が出る。志賀は淡々と、まるでなんてこと無い風体のまま答えた。

「目的は、コイツの保護だ」
「保護……?」
「コイツは昨日不慮の事故で死にかけてる。今後もその事故に巻き込まれる可能性があるから、ウチで預かる事にした」
「それなら機捜に事情話してくれりゃこっちで対処しました。他部署に預かってもらうほどヤワじゃねーよ」
「お前らには対処できん」
「じゃあ言ってみてくださいや、事故の内容を!」
「機密事項だ」

 話になんねぇ、と吐き捨てて三科は夏波の手首を取って突然歩き出した。

「あ、ちょっとどこに……」
「機捜に帰る」
「連れ帰ったところでウチの人員である事に変わりはないが」
「あー、ウゼェ」

 立ち止まり、ゆらりと振り向く三科。相当業腹に据えかねているのか、若干声が震えていた。

「何なんすか? コイツが何か悪い事しました? 普通に仕事頑張って、普通に市民の安全願って過ごしてたのに、受ける仕打ちはこんな日陰で爪弾きになってる部署に内示もなく突然飛ばされるとか。意味分かんないですよ。つかなんなら今日コイツ休みでしょ? 何で連れ回してるんすか?」
「三科、ありがとう、でも僕は大丈夫だから落ち着――」
「お前も!」

喚き散らす訳では無くただ淡々と述べていたはずの三科だったが、夏波がなだめに入った所で声のボリュームが上がった。自分を律するかのように大きく息を吐き出して、彼は続ける。

「ちゃんと反抗したのか? ちゃんと怒ったか?」
「…………」

 やっぱりな。と、三科は何故か苦しそうに歯噛みした。

「どうせすぐ『仕方ない』とか言って諦めたんだろ? 嫌な事は忘れろっていつも言ってるけどさ。でも、言葉にしねーと何も伝わらねーんだよ。理不尽には理不尽だって声上げねーと、そのままにされちまうんだよ。それとも何か? 嫌じゃないのかよ、夏波は」
「そりゃ……嫌というか、正直半信半疑っていうか……」
「それも、言わなきゃ駄目なんだよ。言葉にしてくれ。じゃなきゃ、受け入れてるように見える」

 怒られているというよりも、諭されている感覚に近かった。言われている意味は分かる。しかし、心のどこかでどうしてもストップがかかってしまうのだ。
 自分なんかが本当に意見していいのだろうか。自分なんかが逆らうなんて事をしても大丈夫なのだろうか。誰かに答えを求めているわけではない疑問が、ぽつりぽつりと泡のように浮上して喉の奥を圧迫する。

「突然の話になってしまったのは、本当に謝るわ。ごめんなさい。でも保護だけじゃなく、今の特殊対策室には夏波君が必要だと判断したのも本当なの。……人事は変えられないわ」
「宮藤さん……」

 自分を求めてくれている。自分にしかできないことがあるのかもしれない。
 そうだ、そういう期待感があったのも確かだったのだ。機捜が嫌な訳ではない。三科と離れる事になるのも寂しい。あまりにも突然の事で、自分の気持ちがどうなっているのか夏波自身にも全く分からなかった。
 頭の中を引っ掻き回すうちにふと浮かんだのは、この状況に自分を引き込んだ“あの日の光景”だ。

『違う……助けて欲しかった、だけで……』

 月明かりに照らされた少女が、泣きじゃくっている。

『もう二度と……、……死ねなんて言わねーから……、頼むから……』

 病院でただひたすらに少女の生を懇願する少年の声。
 自分の気持の整理をして、更に理解して言葉にできる程、夏波は器用な人間ではない。その自覚がある。けれど、今思い浮かんだということは、きっと自分にとっての最優先は決まっているのだ。

「……三科」
「なんだよ」

 不貞腐れてはいたが、その怒りを夏波に向ける事はしない。いや、それも当たり前なのだろう。彼はきっと、怒るのが苦手な夏波の代わりに怒っていただけだ。

「あんまり上手く言えないし、……その、まだ自分がどう思ってるのかとかちゃんと分かったわけじゃないんだけど。……昨日、僕困ってそうな人を見かけて……今は志賀さんと一緒にその人を探してるんだ。……僕は、その人を助けたい」
「……」
「機捜を離れるのは嫌だし、僕だって三科と仕事してたかった……んだと思う。けど、その人を放り出して今すぐ機捜に戻るのも違うんだ。今はその人を助ける為に頑張りたい。その後どうしたいかとかは、……ごめんだけど、まだ分からない」

 自分の考えている事を吐き出すのは怖い。言葉にさえしなければ、拒絶されることが無いからだ。自分の中で全てを受け入れられたら、何の波風も立たないからだ。
 けれど、三科がそれを嫌がるのなら。言葉にしろと言ってくれるのなら。言葉を探すのに苦労しながらも夏波は切々と訴えた。
 三科は少し驚いたようにしながらも、夏波の手首を離す。

「……なぁ、夏波」
「なに?」

 ふと、三科は何かを問いかけようとした。そんな風に思えた。だが彼は何かを振り切るように首を横に振ると、「分かった」と頷く。

「お前がちゃんと考えてる事を言葉にしたってのは伝わったから、一先ずは分かったって言っとく」
「三科、……ありがとう」

 三科はちらりと志賀を見ると、少しだけ罰が悪そうに視線を下げた。

「組織に所属してる以上、仕方が無いことがあるのは俺だって分かってる。けど、今回は酷すぎんだよ」
「それはね、僕もそう思う」
「それが分かってんのに、どうして怒らないのかねぇ……」

 大仰に肩をすくめて呆れを見せる。

「まあいいや。ただ、ちゃんと考えた結果は教えろよ。場合によっちゃ、機捜全員で訴えに来る」

 ばし、と背中を叩かれ、夏波は少しだけ笑ってみせた。三科はそれに呼応するように笑みを見せると、改めて宮藤に向き直り、深々と頭を下げる。

「感情的になりました。申し訳ありませんでした」
「ううん、こっちも夏波君を蔑ろにするような事をしたわ。特対の評判を聞いて心配になる気持ちは分かるし……、いきなり辞令はやりすぎたわね。最初は応援要請とかにすれば良かった」
「結果的に引き抜くんだから、そんなまどろっこしいことしてられるか」
「うん、志賀君はちょっと空気読もうね」

 ニコリと笑顔を作る宮藤だが、流石に目が笑っていない。志賀は腑に落ちないという表情ではあったがそれきり黙り込んだ。

「隊長には自分から言っておきます。多分まだ怒ってますけど、……夏波が嫌がってないなら多少落ち着くと思うんで」
「後で私からも連絡を入れるわ。負担をかけて本当にごめんなさいね」

 ほっ、と、胸を詰まらせていた空気が口を継いで出た。三科はその後も宮藤と会話を交わし、そしてもう一度夏波に近付く。

「夏波、何かあったらすぐ言えよ。あと、早く端末買え。最初マジで死んじまったかと思ったわ俺」
「う、うん、……迷惑かけてごめん、三科……」
「お前がかけてんのは、迷惑じゃなくて心配!!」
「痛い!」

 最後に脳天チョップを食らわせて部屋を出ていく三科は、もうすっかり元の彼の表情だった。こつ、こつ、と三科の靴音が遠ざかっていく中、夏波と宮藤はなんとはなしに顔を合わせる。
 しばしの沈黙。靴音が完全に聞こえなくなって、数秒後。

「あぁ…………、 世界の終わりかと思った…………」
「本当に……年寄りの理不尽なお叱りを相手にするより、若者から真っ当に怒られる方が数百倍心に来るわね……」

 同時にソファにへたり込んだ。唯一志賀だけが平然と歩き回り、いつの間にか淹れていた茶を啜っている。
 しばらく2人で長い長い息を吐いていたが、やがて宮藤が顔をあげて、ニコリと陰りのない笑顔を見せた。

「良い子ね、三科君。君の為にあんなに怒るなんて」
「アイツ、自分の事だと何でも受け流すくせに、人の事だと烈火の如くブチ切れちゃうんです……。まぁ、署長に対してもキレるとは思いませんでしたけど」

 三科は常に飄々としているように見えて、意外とすぐに爆発する。自分と他人の扱いにおける沸点が違い過ぎ、三科と初めて会った人間が彼の地雷をあっさり踏みぬく、なんてのはよくあることだ。

「お前が思ったより面倒な箱入りだって事は分かった」
「箱入りって……」

 自分のデスクに腰を預けて、志賀は苦々しげに言う。随分な言い方に困ったように笑う夏波。その耳元で、宮藤がこそりと告げた。

「大切にされてるって言いたいのよ、彼」
「まぁ……よくしてもらってるのは事実ですね」

 人に恵まれているという自覚はある。そして、できるだけそれに報いたい。自分が沢山救われている分、自分だって誰かを救える人間でありたいのだ。そのためにはまず、伊霧芽郁の居場所を突き止めて、伸ばされたはずの手を掴まなければならない。ぐ、と夏波は大きな手袋のはまった手を握り込む。

「あの――」

 と、夏波の声が携帯端末の振動音で掻き消された。音の発生源は志賀のデスク上。直ぐに持ち主が拾い上げ電話に出る。

「……剣か」

 志賀はそういうなり、耳から端末を離した。数回画面をタップすると、夏波と宮藤にも聞こえるボリュームで剣の声が流れ出る。

『お前が言ってた跡かは分からんが、……見つけた』
「写真送れ。場所はどこだ」
『通町公園横の交番内だ』
「内……?」

 嫌な予感。間髪入れず、志賀の端末が何かを受信する短い音を鳴らした。慌てて近づいた夏波が覗き込むことを、志賀は厭わない。

「これ……」

 息を飲んだ。
 剣からの写真に写っていたのは、人を象った塩の彫刻だった。 
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登場人物紹介

夏波 奏 《カナミ カナデ》


25歳/O型/167cm/特殊対策室所属


自他共に認める気弱人間

志賀 太陽 《シガ タイヨウ》


28歳/AB型/159cm/特殊対策室所属


中央署の嫌われ者

宮藤 由利 《クドウ ユリ》


?歳/B型/154cm/特殊対策室所属


中央署の名物署長

三科 祭 《ミシナ マツリ》


26歳/B型/178cm/機動捜査隊所属


夏波の元相棒で親友

剣 佐助 《ツルギ サスケ》


28歳/AB型/181cm/機動捜査隊所属


苦労人気質の優しい先輩

村山 美樹 《ムラヤマ ミキ》


31歳/O型/162cm/機動捜査隊所属


飄々としてるけど面倒見はいいお姉さん

美月 幸平 《ミツキ コウヘイ》


24歳/B型/178cm/俳優


爽やかな青年

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