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文字数 469文字


消された居場所を探す
あそこに忘れたものを見つけたくて
消した記憶をまさぐる
あの日に置いてきたものに
価値を見つけられなかった事を
僕が確かめたくて
後悔とかないと言ったら
きっと嘘になってしまう
でも考えないようにしてきた
諦める事で自分の居場所を
誰にも見つけられないそんな場所を
作り出したかったから
あの頃の僕らのキャパは
大人が思うほど大きくはない
でもそれ以上に積み込まれていく
大切なものと
そうでもないものたち
でもあの頃の僕らは
何が必要で
何が後から必要で
何が今もこれからも
不必要なのかなんて選べなかった
好きとか心地いいとか
そんな水のような
流動的な理由だけで
より分けては楽を選んでた
甘美なその笑顔の中にある毒は
今も僕たちを苦しめてる
大人たちは良かれと思ってる偽善者で
きっと今も悪いなんて思ってもない
でも今は僕らはその毒に染まって
同じくらいの偽善者になっている
あの頃の置いてきたものと
あの頃の忘れ物が戻ることがあったなら
僕らはもう少しだけ
マシな偽善者になれるかもしれない
なんて淡い期待を抱きながら
また今日も過去からの
ゴミみたいな宝物の残骸を
ただ眺めて見送る

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