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文字数 323文字



さっきまでの土砂降りが
嘘のような青が広がる
夏までもう少しだと
遠くで湧き立つ
雲がつげる
僕から全ての水分を
奪い取るような熱気が
ジリジリと近づいてきて
暑さに弱い僕を
静かな部屋へと追い立てる
乾きは少しずつ
僕を蝕みながら
居場所を少しずつ奪い取る
誰かにとっては
待ち侘びてる長い夏の日々
太陽を嫌いになるような
あの眩しさに
臆病な僕は逃げるように
行くアテもなく
走り出した
あんなふうに輝けるなら
あんなふうに熱くいられるなら
僕はどんなに楽になれたのだろう
とめどなく流れる汗が
少しだけ冷静に
いろんな思いの行く先を
ただ優しく教えてくれる
僕にもいつか夏が来るなら
誰かを照らしてあげたい
でも今はまだ
その時じゃないから
僕はその眩しさに
消えてしまいそうで
夏が過ぎ去る日を待っている
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