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文字数 393文字



君の声が聞こえた気がした
ここにはいないのに
僕の名前を呼ぶ声が聞こえた
無性に会いたくなった
別の誰かにも呼ばれたけど
それはどうでも良かった
何だか色んなことがどうでも良くなって
僕はいつの間にか走り出していた
アテはないそれは確かだ
でも君と重ねた思い出の場所で
君と会える気がした
あそこにもここにも
あの時君は確かにいた
サヨナラと何回も言った
またねと何回も返された
言葉と優しい手と唇を
狂おしいくらい重ねたのに
僕は今一人で君を探してる
君がまたねと伝えてくれた場所で
時がもし戻ることがあるなら
君と出会ったあの日に戻りたい
そして君と出会わない道を探すように
あの日の僕に伝えたい
こんなにも苦しい日がくるなら
いっそ君を知らなければ
そう思う自分と
君に出会えたからこそ今があるんだ
そう思える自分がいる
ここにも君の温もりしかなかった
あったの場所には
いつかの君が待っていてくれるだろうか
僕はまた理由もなく走り出していた
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