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文字数 222文字
その香りは
僕を惑わすんだ
香水は嫌いなのに
花の香りも苦手なのに
君から薫るその
柔らかくて甘い匂いに
昨日の嫌なことも
もう思い出さない
でも長い時間は
耐えられずに僕は
君から少し距離を置く
特別な存在じゃないけど
その誘惑のせいで
僕はどこかで君を
意識しながら今日を生きる
話すこともほとんどない
君が誰かを好きでも
僕のタイプではなくても
お互い空気のような相手でも
君が去ったその後に
明日を迎えられると気付く
なんの夢も未来も見えてないから
この香りが続く間は
前に進む道標