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文字数 427文字



君はいつもこの季節になると
僕をあの場所に誘う
君にとってその特別な場所は
とくに僕にはそれほどでもない
ただ見晴らしのいい高台で
たまに落ち込んだ日の後とかに
眺められたなら少しは
清々しくなれるけど
そうでもない日なら退屈な場所
でもそんな僕の気持ちは
どうでもいいんだ
その足りない気持ちは
君のその嬉しそうな顔が
全てを埋め尽くしてくれるから
君は唐突に愛を叫んだ
だれもいないその場所で
僕に届くよりももっと遠くの
僕の知らない誰かのために
戦う前から僕が負けているのは
もう仕方がないけれど
やっぱり慣れないんだ
でも今の君を手放せないから
君も僕の中が落ち着くと知ってるから
このままをお互い受け入れながら
ほんの一瞬でもその人と
交わる時間があれば
知らないその誰かよりも
君のその全てを愛する方法も
知れたかもしれないのに
1番奥のコアな部分にはまだ
その知らない誰かだけが
住み続けているけれど
今隣にいるのは僕だから
この場所いる少しの時間だけ
知らない誰かに譲ろうと思う
それが僕のささやかなプライド

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