第４話：投資開始と奈良君の見舞い

　奥さんの克美さんは、旦那さんが、心配で、あなたの様子を見ているとたまらないと告げた。そして、実家に話し、実家での仕事を辞めて、家事に専念する事にした。２人子供達は、この事態の重大を理解できずにいた。

　そのため、長男の伊勢和人は、都立高校に次男の伊勢昭二は、都立中学に通った。長男の伊勢和人は、２００３年、東京農工大を目指すと話した。弟の伊勢昭二は、都立国立高校を受験したいと語った。２人とも受験のために夜遅くまで勉強を続けていた。

　そして２００２年１２月は、治療に専念して、寝てばかりの日々を過ごしたが、運動も必要と考えて、暖かい昼間に、奥さんと２人で２０分くらいの散歩を続けた。伊勢は、めまいがすると、すぐに休むようにした。それでも体調の良いときには、日本橋に出かけた。

　この頃、札幌の奈良隆次は、大きな病院に入院した。そして２００３年が明けると１月に長男の伊勢和人が東京農工大を受験して合格した。その後、次男、伊勢昭二が、都立国立高校を受験し合格を勝ち取った。
　
　合格記念に父が、２人に万年筆をプレゼントした。その後、２人とも電車で学校まで通うようになった。そんな時、メリルリンチ証券が、日本に支店を増やしていた。そして、優れた情報を持っていると評判になっていることを耳にして、投資勉強会に参加し始めた。

　その中でも日本初の不動産投資信託に興味を持った。その理由は、株に比べリスクが少なく安定したリターンが得られるという点と高配当であった。　値動きも株ほど大きくないと説明され納得。その後メリルリンチ証券に口座を開き１千万円を送金。

　２００３年３月１１日、証券会社の担当者からの電話で日本ビルファンド気配値が１１３万円で買いと助言された。それに同意し８株を成り行き買いを指示した。すると、すぐに８株を９０４万円で買えた。その結果、投資残金が９６万円、総資産が４９８０万円となった。

　その後、春になり散歩を続けて、徐々に顔色が、良くなってきたが、左耳の聞こえが、改善することはなかった。それでもめまいの回数が減ってきた。その後、めまいに対して慣れてきた。

　具合が悪いと思うと、すぐに横になって休むようにしていた。その他、気分が落ち込まないように落語のテレビ番組を見たりして，気分転換を図るようにしていると、以前に比べて、気分が、落ち込むことがなくなった。

　そのため、奥さんに、俺のことを気にしないで、実家の仕事を介しても構わないと告げた。すると、再び，実家の経理事務の仕事を開始した。そして、秋になり、冬が来て、１２月、クリスマスには、ケーキとフライドチキンを買って、自宅で、子供達２人と祝った。

　奥さんの実家で、経済的に大丈夫かと言われても蓄えがあるので、大丈夫ですと答えた。そして、２００４年が明けた。２００４年３月１１日、スペイン、マドリードで３月１１日、４本の通勤列車内で爆発が起きる同時テロがあり約２百人が死亡。

　テロ組織アルカイダ系の過激派によるテロとみられる。直後の１４日に行われた下院選挙では、野党・社会労働党が、テロ対策やその後の対応で批判を浴びた与党・国民党を破って勝利。欧州連合「ＥＵ」は５月１日、中・東欧、地中海の計１０カ国が新規加盟し２５カ国体制へ。

冷戦時代から５０年以上続いた東西分断の歴史に終止符を打ち、米国に匹敵する一大経済圏が誕生。６月１８日のＥＵ首脳会議では、拡大ＥＵの円滑な組織運営を目指す新たな基本条約となるＥＵ憲法を採択した。
　
　小泉純一郎首相は、５月に北朝鮮を再訪問し、朝鮮労働党の金正日総書記と会談。拉致被害者の蓮池薫さん、祐木子さん夫妻の子供２人と、地村保志さん、富貴恵さん夫妻の子供３人と一緒に帰国した。曽我ひとみさんと家族３人は７月、インドネシアのジャカルタで再会。

　これには、日本中で驚きの声に包まれた。日本列島は、度重なる台風の襲来や猛暑など多くの「天災」に見舞われた。この夏、気温３０度以上の「真夏日」は東京・大手町７０日、大阪市９３日、熊本市１０５日など全国１２地点で記録更新。