第14話:昭二の帰国、父の死、和人の結婚

文字数 1,642文字

 さらに、天然ガスと併産されるNGL「天然ガス液」の量は2008年、天然ガス全体の4.5%だった5年後、5.2%となった。米国エネルギー省によれば、5年間で天然ガスと併産されるNGL「天然ガス液」の量は年間7%のペースで増加すると予測。

 その後2012年12月27日、伊勢和人と昭二が、実家に帰って来て、ゆっくり休息を取りながら、過ごした。2013年、正月、地元の神社に初詣に行った。伊勢夫妻は、家内安全と投資成功を祈願してきた。

 伊勢昭二が、アメリカで恋人ができたと告白すると、母が、結婚するのと聞くと、まだ不明と答えた。2013年1月16日、アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連施設を、イスラム武装勢力が襲撃、日本人を含む多数が人質にされた。

 アルジェリア軍が17日、施設内に突入。武装ヘリコプターも投入して犯行グループの32人を殺害したが、人質も巻き添えになり、外国人39人が死亡した。日本人の犠牲者は、日本企業、日揮の10人で、あった。

 この事件は北アフリカの国際テロ組織、アルカイダから離脱したベルモフタール司令官率いる過激派「覆面旅団」が、実行。背景にはアルジェリア政府と過激派の長年の対立があった。

 2013年4月4日、昭二が、M物産と共にシェールオイルの掘削事業をしているアメリカの大手石油会社に転職を決めたと連絡してきた。その後、5月の連休に日本に戻って来て、M物産に退職届を提出した。

 これで、アメリカの会社に正式に入社したと告げ、年に1回は、帰ってくると話した。8月21日、シリアの首都ダマスカスで、化学兵器を使った攻撃があり毒ガスによる症状で千人以上が死亡。

 国連は9月16日、調査団の報告書を公表。国連の委員会は11月、猛毒サリンを積んだ地対地ロケット弾が「政府の支配地域から反体制派地域に撃ち込まれた明確な証拠がある」と指摘。これら海外でのテロ事件を聞いて伊勢昭二の母は、大丈夫かしらと心配した。

 それに対し伊勢知親は、アメリカでのテロは、もうないだろうとなだめるしかなかった。その後、11月には、伊勢昭二が、来年中に、アメリカ人の彼女と結婚する予定だとメールが届き、近いうちに彼女を紹介するとメールが入った。

 やがて2014年となった。そして、伊勢昭二が、5月の連休に帰るとメールを送ってきた。ウクライナで2月に親ロシア派のヤヌコビッチ政権が反政権デモで崩壊し、親欧州連合派政権が発足したのを確認した。

 すると、ロシア系住民が、多数を占める南部クリミア半島にロシアが軍事介入し3月に編入に踏み切った。武力を背景に領土拡大を強行したロシアに、冷戦後の国際秩序は大きく揺らいだ。

 その後、ウクライナ東部でも、ロシアが後ろ盾の親ロ派武装勢力と政府軍が激しい戦闘を続け、死者は4千人を超えた。7月マレーシア機が撃墜され、298人が死亡する悲劇も起きた。その後、欧米や日本は、ロシアに制裁を発動した。

 4月29日、伊勢昭二が、恋人のシンシアを日本に連れてきた。彼女は、シェールオイルの会社の社長の娘だと言い、2年半の付き合いで、結婚を決意したと話した。大柄だが、笑顔の可愛い娘さんで、母は、安心した。

 結婚式は、6月、テキサスの会社の近くで挙げると、話した。そこで、祝電を送ると父が告げた。そして5月2日、伊勢昭二とシンシアは、日本を発って、アメリカ・テキサスに帰っていった。8月のお盆に、長男の伊勢和人が、同じ会社の恋人、寺山智代さんを連れてきた。

 彼女は、学生時代からの付き合いだと言い、大船駅近くの賃貸マンションに、既に、同棲していると告白した。母は、目を白黒して、彼女の両親も知ってるのと聞くと、話してあると告げると、驚いていた。

 よく聞くと、彼女の方が、押しかけて来たと言うのを聞いた。父が、お前、そんなに、もてるのかと、大笑いした。来年、正式に結婚するつもりだと打ち明けた。母の伊勢茂子は、孫が、結婚すると知らされ、当初、ショックを受けっていた。
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