第22話

文字数 1,088文字

☆22



 内閣府男女共同参画局のホームページからペーストすると、「「ドメスティック・バイオレンス」とは英語の「domestic violence」をカタカナで表記したものです。略して「DV」と呼ばれることもあります。
「ドメスティック・バイオレンス」の用語については、明確な定義はありませんが、日本では「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使用されることが多いです」と、ある。

ところが。同じ内閣府男女共同参画局のホームページによると。
「配偶者暴力防止法においては、被害者を女性には限定していません。しかし、配偶者からの暴力の被害者は、多くの場合女性です。
配偶者からの暴力などの女性に対する暴力は、女性の人権を著しく侵害する重大な問題です。相談件数や調査結果等から、少数の人だけが被害を受けているのではなく、多くの人が被害を受けていることがわかります」
 と、ある。

 被害は女性に限定されて男性が被害者というのはあり得ない、という〈社会通念〉があるので、〈僕が受けている暴力は取り合ってくれない〉か〈笑い話〉にされるのがオチだろう、と思ったし、少し話しても「気の強い女性なんだねぇ」という意見で終了した。男性が被害に遭っても人権を著しく侵害されたとは見做してくれないし、僕は精神病者という被差別者なのだった。
 誰も僕のことを考えてなんてくれなかったし、今もその内閣府男女共同参画局のホームページの記述を額面通り受け取ると、「男性が被害者? なに言ってんの、こいつ?」って感じである。聞く耳を持たないだろうし、実際、当時、警察は僕の話に取り合えってくれるそぶりすら見せなかった。

 その、同居人の女性は大きな声で怒鳴り散らしたり玄関のドアを蹴ったり殴ったり壁に頭を叩きつけて気合いを入れてから僕に暴力を振るっていたので、近隣住民は気づくはずで、僕の方は怒鳴らないのだから、喧嘩ではないのは察していたはずで、そのことを警視庁が知らないはずがない。近所で事情聴取を行っていないと考えられないからだ。
 だが、この件は隠蔽され、僕は泣き寝入った。まあ、外傷は見当たらなかっただろうし、「精神力が弱いそうだしこの男は死んで逃げた卑怯ものなのだ」と思っていただろう、そんなものだ、世間なんて。

 そもそも、だが。
 僕は投薬でこころに対処療法を受けている人間で、この自殺未遂には遺書も存在しない、その上でその同居人のバックにはいろんな権力を持った男が付いているとなれば、警察もおおごとになるのを避けるだろう。

 具体的にはどういうことか。書ける範囲で書いてみよう。


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