第13話

文字数 1,084文字

☆13



 まだ世界は女性に優しくない。だから、男性である僕は率先して矢面に立つ、というミッションを、今回僕はこの文章に課している。利己的エッセイとは違う。なのに、書くことによってよりにもよってその〈女性〉を〈傷つける〉結果となるのが、この作品でもある。つまり、「自分の主張だけをして、いまさら昔に関係のあった他人を突き落とす」という、利己的さがマックスの行いをしている、とも考えられる。しかも〈懐古厨〉というネットジャーゴンで侮蔑されそうでさえある。
 だが、聞いて欲しい。
 このエッセイの最初に、僕は二十数年間、投薬をしている話をした。僕は先天的な理由で投薬をしなければならなかったわけではない。複数要因が同時に襲ってきてそれが絡み合って、僕は高校の担任教師に紹介されて、県庁所在地にある保健センターという場所に行き、投薬を開始したのであった。
 そのときのことは、よく覚えている。書ける範囲で、書いていきたいと考えている。確かに語るのは遙か昔のことだが、僕は現在進行形で投薬をしており、治る見込みはなく、これは関係のあった他者にとっては遙か昔のことなのだが、僕には「今も悩み続けている問題」なのである。
 今の僕の問題なのだ、この話は。そして、身体まで蝕まれた僕は、〈また〉死にそうである。またとはどういう意味か。それは余力があればさらにずっとあとに語ることになるだろう。
 病気と診断されるに至るまでの話を覚えているなら書かないとならないだろう。〈ひとは理由があって病気になる〉のだ。「あいつは生まれつき脳みそに異常があるからこうなったんだ」といろいろなひとに言われて傷つけられてきた。それでも、僕は口に出来なかった。
 でも、語れるなら語ろうぜ。自分の首を絞めることになっても。とりあえずの着地点は、この作品の「☆9」から「☆10」に書いたところに着地する。だが、そこにたどり着くまでも結構入り込んでいて書き出すのは困難だ。腰を据えて書こうかな、とは思う。だいぶ省略して書かないとならない理由もあるにはあるけれども。

 こんな用語は使いたくないのだが、僕のまわりは僕が病気になってしまって今に至るまでの経緯に自分にも原因があることを否定する「歴史修正主義者」である。かたくなに自分は悪くない、「おまえが勝手に病気になったんだ。生まれた最初からあたまがおかしかったのだ」という主張をする。
 最初からあたまがおかしいとは一体なんだ?
 なんだろう、レイシズムの匂いを感じるぞ。
 そういった話も書けると良いのだが、筆力が足りないかもしれない。なにはともあれ、描き出すことを試みよう。


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