第6話

文字数 967文字

☆6



 書いちゃいけないことを書いたことが起因で、嫌がらせなどを受け、著者や作者が死に追い込まれることがあり、具体的な嫌がらせの一部をたまたま知ることもあった。だが、誰がなんの目的でそんな嫌がらせをするのか、僕は大抵わからなかったし、関係者でもない場合がほとんどなので、事後に知ることになってやるせない気持ちになることがほとんどだ。
 個人的な経験で知ることもあるのは、嘘に思えるかもしれないが「これ、どうやってんの? 僕は病気だから病気でなってるのか?」というような現実を疑うようなかたちで嫌がらせなどを行ってくる、団体だかなんだかは本当に存在する、ということだ。
 そういう団体やらは〈尻尾を掴ませない〉ので、訴えるも相談も不可能だ。せいぜい病棟にぶち込まれるのがオチだろう。
 だが、たまに時代の契機によってそれが妄想ではなく表舞台で明るみに出ることがある。
 噂ベースでしか知られていなかった性的な暴行を誰でも知っているような人間が行っていた、などの事例がその最たる例だ。あわてて付け加えるようだが、明るみに出ていないで同じことをしている人間の具体的な名前などを、僕はたくさん聞いたことがあるし、是正されているは考えにくい。その問題ですら氷山の一角なのであるし、いろんな業界で聞くので、どこかの業界だけが腐っているわけではない。酷い話だ。おそらくは、そういう地獄はどこかで、まだ続いている。

 それは〈性〉の問題だけに限らない。フィクションに賭ける人間は、その〈告発〉が、ときに〈突飛でもない〉妄想のように思われる場合があるので、最初からジャンルをサイエンスフィクションやミステリなどにコーティングしているのを確認することがある。フィクション化して無害化をどうしても計らないとならない事例が多い。
 誰でも知っている企業や団体が過去に行った本当にあった手口がミステリにフィクションとして描かれている例を読んだことが何回もあり、別になにをモデルにしたと明記されない、出来ない場合も多々あるのだ。だから小説を読むのは空想に浸る道具であるだけではないのは、わかっていただけるだろうか。チェスタトンではないが、「木を隠すなら森の中へ」なのである。
 もちろん、超絶的な妄想を叩きつける作者が現実と似てしまう場合も多くあり、その方が多い……と思いたい。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み