第12話
文字数 1,024文字
☆12
オプラ・ウィンフリーとヘンリー王子のAppleTV+の『ザ・ミー・ユー・キャント・シー』という番組がある。日本で観ようとするときは『あなたに見えない私のこと』だ。こころの病と向き合っていく、という趣旨の番組である。
登録しておいてちゃんと観なかったので、今、観ている。例えば家族のなかで、子供ががんと戦っていると言うことは出来るが、子供が鬱と戦っている、とは言いにくいのが世の中である、と語られる。こころの病は〈負〉のものと見なされてしまうのでなかなかひとに言えない事柄なのである、ということが、提示されて、議論は進む。
ひとはかなしみに蓋をするように〈仮面〉を付けて生きるようになってしまうが、それでは人間は〈壊れてしまう〉ことなどが、丁寧な構成で語られる。僕はこの番組をきちんと観ようと思った。
僕は今書いているこの作品で、「こんなメンヘラ話を書いてどうするんだ。読んだひとが不愉快な想いをするし、やっぱり〈黙っていた方がいい〉のではないか」と絶えず自問しながら書いている。だが、『あなたに見えない私のこと』は、「話すことは大切である」ことを教えてくれる。
ただし、そうは言っても僕のこの文章はひとを傷つけてしまうし、僕自身も社会的に終わってしまうと思われる。書くことによって。
それはとてもつらいことだ。社会的に死ぬというのは、比喩表現ではない。だが、僕は今、これを書いている。
こころの病は汚らしいものであると未だに多くのひとは思っている。醜いものである、と。
傷つき、また、傷つけられる。
だから、正常な判断だとばかりに仮面を付けて生きていく。しかし、それではいずれ人間として壊れてしまうことは、上述した番組で語られる。
僕は自問しながら、今もこれを書いている。
「世界中で無数の人々が沈黙したまま、心の病と闘っている。病を癒やすには、沈黙を打ち砕く必要がある。今がその時だ」と、2021年の、上述のドキュメンタリー番組の説明にはある。
僕の〈方法論〉は間違っているかもしれない。だけど、僕の脳みそでは今書いているこの文章の書き方で精一杯である。それを踏まえた上で、この話はまだ続く。
僕はきっとみんなに見放されてしまう。被害者のはずなのに〈罰〉を受けるかもしれないし、成功するハッピーな未来はなくなるだろう。いや、そんなことは書き終えてから考えることだ。敵をひたすら増やしながら、殺意を抱かれながら、僕はそれでも書くしかないのだ。
オプラ・ウィンフリーとヘンリー王子のAppleTV+の『ザ・ミー・ユー・キャント・シー』という番組がある。日本で観ようとするときは『あなたに見えない私のこと』だ。こころの病と向き合っていく、という趣旨の番組である。
登録しておいてちゃんと観なかったので、今、観ている。例えば家族のなかで、子供ががんと戦っていると言うことは出来るが、子供が鬱と戦っている、とは言いにくいのが世の中である、と語られる。こころの病は〈負〉のものと見なされてしまうのでなかなかひとに言えない事柄なのである、ということが、提示されて、議論は進む。
ひとはかなしみに蓋をするように〈仮面〉を付けて生きるようになってしまうが、それでは人間は〈壊れてしまう〉ことなどが、丁寧な構成で語られる。僕はこの番組をきちんと観ようと思った。
僕は今書いているこの作品で、「こんなメンヘラ話を書いてどうするんだ。読んだひとが不愉快な想いをするし、やっぱり〈黙っていた方がいい〉のではないか」と絶えず自問しながら書いている。だが、『あなたに見えない私のこと』は、「話すことは大切である」ことを教えてくれる。
ただし、そうは言っても僕のこの文章はひとを傷つけてしまうし、僕自身も社会的に終わってしまうと思われる。書くことによって。
それはとてもつらいことだ。社会的に死ぬというのは、比喩表現ではない。だが、僕は今、これを書いている。
こころの病は汚らしいものであると未だに多くのひとは思っている。醜いものである、と。
傷つき、また、傷つけられる。
だから、正常な判断だとばかりに仮面を付けて生きていく。しかし、それではいずれ人間として壊れてしまうことは、上述した番組で語られる。
僕は自問しながら、今もこれを書いている。
「世界中で無数の人々が沈黙したまま、心の病と闘っている。病を癒やすには、沈黙を打ち砕く必要がある。今がその時だ」と、2021年の、上述のドキュメンタリー番組の説明にはある。
僕の〈方法論〉は間違っているかもしれない。だけど、僕の脳みそでは今書いているこの文章の書き方で精一杯である。それを踏まえた上で、この話はまだ続く。
僕はきっとみんなに見放されてしまう。被害者のはずなのに〈罰〉を受けるかもしれないし、成功するハッピーな未来はなくなるだろう。いや、そんなことは書き終えてから考えることだ。敵をひたすら増やしながら、殺意を抱かれながら、僕はそれでも書くしかないのだ。