すべてがFになる
文字数 920文字
……答えて、プレイボーイさん。
（こういうとき、どうすればいい！？）
（さすさす）
あうっ！
やめて……そんな……
わけわかんなさと気持ち良さの同時攻撃に、俺の股間から１０１匹ワンちゃんが飛び出しそう。
（クリちゃん駄目だよ、そんなこと……！ 俺は、俺には……佳純が！）
（でも、このままじゃ……ううっ！）
ヤるか、ヤるまいかの大ピンチ。
だが、こういうとき、俺にはいつだって従うべきポリシーがあった。
だが、こういうとき、俺にはいつだって従うべきポリシーがあった。
（なんだったっけ？ 今日の占い……）
（まだ……まだ日付は変わってないよな？）
いつだって時間を確認できるように風呂にもつけて入れる防水の腕時計を確める。
（よし。まだだ。まだ今日だ！）
（それなら俺は全然やれる。まだ戦える！）
（思い出せ。雑誌の、発売ホヤホヤの生きのいい予言。今月の占いカレンダーの今日のとこ。あれには何て書いてあった？）
（確か……）
失せ物注意。
大切なものをなくさないように、白と紫の色の、小さなラッキーアイテムを身に着けよう。
大切なものをなくさないように、白と紫の色の、小さなラッキーアイテムを身に着けよう。
（大切なもの？ 大切なものって……。俺が失う大切なもの……）
（佳純）
ああ、これか……！ これのことを言っていたのか。俺の大切なもの……運命の女。
なーんだ。
それなら、全然ヘイチャラだ。
だって、俺の胸にはちゃんとあるんだ。佳純から借りた……アレが……あれ？
と、そこで気づいた。
アレはファミレスで食事をしてから、歯磨きをするからと言う佳純に渡してそのままになっていたことに。
（ないっ！ アイツそのまま持って帰りやがった！）
（てことは……）
（ヤバイ、マジにヤバイ！ どうしてこんな……！）
背筋にゾッと悪寒が走る。
後悔。そして絶望。
後悔。そして絶望。
このままでは失ってしまう。駄目だ。アレがないと駄目なんだ。
（歯磨き粉がなかったら、きっと誘惑に負けてクリちゃんとヤッてしまうんだ！ 取りに帰らなきゃ……！）
どうしたの？ ミチルくん……。
俺の様子がおかしいのに気づいたクリちゃんが真顔になり、心配するように身体を寄せて来る。
しかし、そんな彼女を振りほどくように俺は勢いよく立ち上がった。叫びながら。
ハミガキコー！
ガッ！
その瞬間、頭に強い衝撃を受け、視界のすべてがホワイトアウトした。
俺は何が何だかわからなくなった。
……もうすでにそうなってはいたが。
