求愛行動は謎めいて？
文字数 2,783文字
ＲＲＲＲ……ＲＲＲＲ……
う……電話？ ミチルから……？ 寝てたのに……って、午前２時50分……こんな時間に何……？
もしもし……
ジュン、今から俺のウチ来れないか？
はあ？ なに言ってんの？ 意味わかんない。
今、何時かわかってる？ ＡＭよ、ＡＭ。
わかってるよ。でも、会いたくてしかたがないんだ、だから……
（んん？ これまた異なことを。こんな事言う奴だったけ？）
（てゆーか、私たち、そんな関係だったか？）
なあ……いいだろ？
読者の皆様の為に解説いたしましょう。
夜中の３時近くに電話をしてきたこの非常識な無礼者は城戸充↑
大学三年生。同じゼミ。
夜中の３時近くに電話をしてきたこの非常識な無礼者は城戸充↑
大学三年生。同じゼミ。
←私は石神佳純。
名前はカスミだけど、ミチルは私の事をジュンと呼ぶ。
名前はカスミだけど、ミチルは私の事をジュンと呼ぶ。
ジュン、お、おい……聞いてんのか？
ゼミの皆や友達から呼ばれるのは「カーちゃん」か「カスミン」。
カーチャンってどーよとも思うけど、思いつつも割と気に入ってる。
ああ、あと、「イッシー」てのもあったか。
カーチャンってどーよとも思うけど、思いつつも割と気に入ってる。
ああ、あと、「イッシー」てのもあったか。
ジュンちゃーん？ ねえ……ちょっと？
ジュンと呼ぶのはミチルだけ。
私とミチルは特別な関係。
私とミチルは特別な関係。
と……いっても、つきあってもいなければ、恋人同士でもない。
親友なんてこともさらさらない。
親友なんてこともさらさらない。
となると、残る関係は……だいたいお察しかもしれませんが。
そう、セフレです（ｷﾘｯ!）
割り切ったおつきあいってやつですな。うん。
お互いにとって都合の良い関係。目当ては体。
うんうん。わかりやすい。
お互いにとって都合の良い関係。目当ては体。
うんうん。わかりやすい。
必要以上にベタベタしない。
ベタベタするのはアレのときだけ。普段はお互い知らん顔。
ベタベタするのはアレのときだけ。普段はお互い知らん顔。
まあ、そこまでドライではないか。フツーの友達という程度。
すれ違ったら挨拶ぐらいはする。
すれ違ったら挨拶ぐらいはする。
ヤリたくなったらLINEで連絡。
連絡するのはだいたい、いつも私の方。
連絡するのはだいたい、いつも私の方。
おーい、聞こえてる？
というのも、↑コイツはモテるから。
そんな言い方をするとまるで私がモテない女みたいに聞こえるけれど、違う。
……ああ、誤解しないで。
調子こいてる訳じゃないからね。
調子こいてる訳じゃないからね。
モテるモテない……というか、言い方を換えれば、私には節度がある。
極々一般的な、平均的な倫理観とモラルの持ち主というだけ。
極々一般的な、平均的な倫理観とモラルの持ち主というだけ。
セフレはミチルだけ。彼氏はナシ。
もし彼氏ができたらミチルとは関係を解消する。
もし彼氏ができたらミチルとは関係を解消する。
ちょっと待てよ、言ってて心配になってきたぞ。
フツーだよね？
割とフツーなんじゃないかなって、私は思うんですけど……。
割とフツーなんじゃないかなって、私は思うんですけど……。
……と、それは置いといて。
あれれ？ 寝ちゃった？ 返事が聞こえないよー、ジュン。
フツーじゃないのはミチル↑だ。
さっきも言った通り、コイツはモテる。まあ、それは認めざるを得ない。
絵に描いたようなイケメンなのよ、奴は。
さっきも言った通り、コイツはモテる。まあ、それは認めざるを得ない。
絵に描いたようなイケメンなのよ、奴は。
対する私は絵に描いたようなモチ。
いや！ それはない！
ないと思いたい。
ないと思いたい。
うんうん。断じてモチではないぞ。そう信じてる。
大丈夫、毎日鏡と相談してるから。
大丈夫、毎日鏡と相談してるから。
対する私は……ええと、そう。絵に描いたフツーの女子大生。
まあ、そう思いねえ……お願いだから。
おっと、話を戻すね。ミチルだ。
それで、ミチルも自分がそーゆー、女を夢中にさせてしまう人間だってことを自覚してて、特定の相手を作らず、節操のない青春を謳歌してるわけなんだな。
入学以来、女を喰いまくり。
見境なく……ではなくて、美少女を厳選してだけど。
あ、この理屈だと私も美少女ってことになっちゃうな。
うーん、自分ではそう思わないんだけどなー。
うーん、自分ではそう思わないんだけどなー。
てへぺろ。
……とでも舌を出して見せられる性格なら、もっと男も寄って来ようものなのだけど。
生憎、私はどうも異性にバリヤーを張ってしまうタイプらしい。
恐く見えるみたい。
恐く見えるみたい。
だから、親し気に話しかけて来た男といえばミチルぐらいのものだった。
そんな訳で私はミチルハーレムの一員となったのである。
うげっ、自分で言ってみてショック。かなりインパクトあるな。
ちょっとなし、今の取り消し。やり直し。
ちょっとなし、今の取り消し。やり直し。
要するに私にとってミチルはたった一人の都合の良い男で、ミチルにとっての私は数ある都合の良い女の一人だったということ。
まだちょっと哀しいな、これ。
でもいいか……事実だし。トホホ。
でもいいか……事実だし。トホホ。
ぶっちゃけて言えば、セックスしてみたかったんです！
はい。どうもご清聴ありがとうございました！
バージンじゃないフリしたんだけど、あっさりバレましたね。
でも、そんなことどうでもいい。
でも、そんなことどうでもいい。
私もこだわるつもりはないし。
ミチルも、だからって特別な男みたいな顔はしなかった。
そこはホメてやってもいいかな。
そこはホメてやってもいいかな。
そんなこんなで、それ以来ずっと「割り切った」男と女の間の『友情』を確かめ合ってきたわけ。
間違っても「今なにしてるのかな……」なんておセンチなことを考えたりはしなかった。少なくとも、私は。
ミチルはどうだか知らないけれど。
それは本人のみぞ知るだから。
それは本人のみぞ知るだから。
でも、学内の噂を信じるならば、それは絶対ないと言い切れる。
ウチのゼミの主だった子たちも皆、一度はミチルとやったことがあるみたいだし。直接確かめたわけじゃないけど。
ウチのゼミの主だった子たちも皆、一度はミチルとやったことがあるみたいだし。直接確かめたわけじゃないけど。
ヤリチンキングだよ、アイツは。
だから、この電話。これはオカシイ。
会いたくてしかたがないだあ？ 嘘くせえ。
……と、そう思ったわけであります（説明終わり）
お、おい……聞いてんのか？
（妙に切羽詰った声……「必死だな、オイ」って感じ？）
（でも、そうなんだよなあ、会いたいって言う割に、なんか甘さが足りないというか）
（うん。おセンチな感じがないんだよね。うんうん。これ、なんだろう？ 変だな）
ジュ～ンちゃん♪ 聞いてるぅ？
はあ……もしもし。聞いてるし、会いたいはわかったけど、なんでよ？
……なにって……そりゃ
なに？
……しようぜ？
なにを？
（言わせんなよ、恥ずかしい、か？）
セックスだよ！
（ああ、コイツはそのへんのデリカシーはなかったか……）
はあ～？ だーかーらー、なんで突然そんなこと言い出すのって。私、今さっきまで寝てたんだよ！ 明日も早いしさ。午前からあるんだから！
（夜中の三時に叩き起こして「エッチしようぜ」って、喧嘩売ってるよね……）
（しかも「来い」って。何様！）
（って、セフレ様だし、お互い様なんだけど。とはいえ……）
私、セフレ様である前に女の子様なんだけど！
あんたのこと王子様だなんて思ってないけど、男の子様として、女の子様に夜道を歩かせるってどーなのよ！
いや、でも、しないとマズいんだよ。
……？
だから今すぐ来てくんない？ お前のして欲しいように、してやるからさ。
（「しないとマズい」ってどういうことかしら？）
（罰ゲームかなんか？）
……ミチル、あのさ。
う、うん……来てくれる？
して欲しいこと、先に言ってもいい？
いいよ！ 準備しとくから！
本当？ 嬉しい～！ えっとねぇ……
うんうん、なにがして欲しいの？
二度とかけてくんな！ 寝ろ！
プッ……
ふぅ～、さて寝直そう。
わけわかんないけど、理由は明日学校ででも聞けばいいや。
レポートに時間がかかったせいで、いつもより就寝が遅かったのよ。
安眠は何より大切よね。
安眠は何より大切よね。
ＲＲＲＲＲＲＲ！
ぐえあ！ しまった。そう来るか！
