あなたが一番愛しているのは私

鋭い女

エピソードの総文字数=932文字

なーにやってんのよ、こんな所で! 見かけなかったらそのまま家まで行っちゃう所だったじゃない!
べ、別に行ってりゃいいじゃねーか。鍵持ってんだし。
ン?
↑この女の子は石神佳純。
俺の彼女だ。会う約束をしていたのだ。
何かオカシイわね……。
↑佳純は鋭いオンナだ。
今まで隠し事が出来た試しがない。
何故だかわからないが、俺が知られたくない事にいつも感づく。
で? 今、何してたの? こんなコンビニのクジの景品の前で。なんか、すっごいにらんでたよ。
い、いや……ええと、フリーザ様?
……。
すがるように見上げても、フリーザ様は、俺の代わりに答えてはくれなかった。
アニメでは手下に対してそれなりに面倒見がいい感じだったのに、このフリーザ様は、棚の上であの不敵な微笑みを浮かべて俺たち二人を見下ろしているだけだ……。
フリーザ様?
……。
この人形? フリーザ? なによ。
なんでもないって。
クジ引きの景品だよね、これ……。
はぁ? 一回五百円もするの!?
あうあー。
しかもこれ一等のじゃん! アンタ、まさか当たるまでやるつもりだったんじゃないでしょうね!
いや、その……。
ミチルってオタク趣味なかったよね! なんでこんなの欲しいのよ!
子供の頃にさ、す……好きだったんだよ……。
……。
(ヤバイ。全然信用してないときの目つきだ)
そういえば、今月号……!
ちょっ……どうして雑誌コーナーなんかに行くんだよ!
あんた絶対、今日発売の号、チェックしに来てたんでしょ!
そんな馬鹿な。だってそれ女の子の読む雑誌だよ!
あった、これだ!
ジュンちゃん、なんでそんなページ開くのかな……。
ジュンってゆーな!
佳純さん? ね? そんなとこ読んでも……。
ミチルが見るっつったら、占いコーナーしかないでしょ。
そ、そんなことないよぉ~。
そんなことあるでしょうが。
ミチルは蟹座だったよね。
えーと、なになに……
失せ物注意。大切なものをなくさないように、白と紫の色の、小さなラッキーアイテムを身に着けよう?
……。
……や、その。
ミチル。
はい。
ちょっと、外……出ようか。
え? いや、それは……まだ、フリーザ様が……。
……。
お店に迷惑になるといけないから……ね?
……。
佳純は怒鳴ったりせず、それどころかもの凄く丁寧な、お願いするような言葉で俺に言った。

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