あなたが一番愛しているのは私

二人のカンケイ

エピソードの総文字数=1,490文字

佳純はひと駅離れた所に一人暮らしで、俺はというと通学に便利な大学のすぐそばのアパートに下宿している。
お互い行ったり来たりだ。
さっきのコンビニは家の近所。
そして、帰宅した俺は目の前に仁王立ちする佳純を見上げながら、自分の部屋の真ん中で膝に両手を揃えた状態で正座させられていた。
(なんでだよ……)
一回五百円だよ、五百円! 何回までやるつもりだったのよ!
や、別に……特には決めて……
二回やったら千円なのよ! あんたねー自分のバイトの時給いくらと思ってるのよ!
カネならあるし。
……ないだろ!
無駄遣いとかしないから、俺。
してるっつーの! さっきのアレだ、アレ! フリーザ様だ!
無駄じゃねーし……
(生きる為の努力と言って欲しい)
はーあ、カラダだけの関係だと、意外とわかんないもんなんだねえ……こういうこと
俺と佳純は、恋人同士になってからまだ一週間だ。
しかし、つき合い始めたのは昨年から。
出会いはゼミの初回だった。
ちょうど隣に座っていた彼女のアンケート用紙を回収しようとして、ふと名前に目がとまったんだ。
~回想ここから~
氏名:石神佳純
イシガミカジュン?
あなた、外国の人?
~回想ここまで~
それが最初に交わした言葉。俺たちはそこから始まった。
思えば、佳純はそのときからもう俺に惚れていたんじゃないかな。
んー。俺、そんなに日本人離れしてないと思うんだけどな。
でも、ハーフっぽく見えるのかもしれない……イケメンだし。
まあ、それ以来、俺は彼女のことをジュンと呼んで、彼女は多分、外人好きだったんだろう。俺との距離は近づいて行った。
そして俺たちは「友達」になった。「知り合い」以上、「恋人」未満ってやつだ。
その後、色々あって俺たちは恋愛関係になり……
現在只今は「説教する人」と「される人」の関係になっている。
前々から、ミチルの部屋ってモノが多いなーって不思議に思ってたのよね。こちゃこちゃした女っぽい物がいっぱいあるでしょ。
アレ、他の女の子が置いてったのかと思ってたけど、全部ミチルがこーやって買ってたんだね
(まーな。努力してるからな……)
佳純はどうも、俺の人生に対する真面目な取り組みに理解がない所がある。
だが、俺はそれを不満に思わない。
俺は俺、彼女は彼女。それでいい。人間、お互い全てを理解し合う必要なんてない。
それに佳純は割とサッパリした性格だ。そこは気に入ってる。
こうやってクドクド言うことはあっても後々まで引きずらない。
まっ、いーや!
(……ほらね)
(こういうとこ好き)
(いいオンナだなーって思うね)
(ま……どんな女の子も、いい女なんだけどね)
正座、崩していい?
いいよ。
これも、持ってていい?
……いいよ。
佳純は清潔好きで、食事の後は外でも必ず歯を磨く。
俺の手には、佳純が持ち歩いている小さな携帯用の歯磨き粉のチューブが握りしめられていた。
……紫と白のストライプの奴だ。
コンビニを出てから渡されたのだ。
よっこいしょ……と。
……。
それでは、本日のメインイベントを行う!
ああ、そうだ、そうだ。今日はそれだった!
楽しみにしてたんだよ! 何て言うのだったっけ?
少しムツカシー言葉だったよな……ええと。
教えて貰ったこと、きっと私に感謝するわよ!
うんうん。早く、早く! なんだっけ? ダン……ダシャ……
断捨離
うん、それ~♪
(ダンシャリ! 凄くスピリチュアルな感じだ)
どういう占いなんだろー!
(オーラとかそういう系? それともカード系かな……)
道具とか要るの?
使うよ~。
おおお!
(期待、膨らむー!)
まずは、これを使います。
……ん?
佳純の手に握られていたのは大きなゴミ袋が二つ。
燃えるのと、燃えないのに分けないとね。

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