そして、二人は。
文字数 1,712文字
(ないんじゃねーか、オカネ。まーな、じゃねーよ。)
結局、ミチルが私の家にやって来たのはついさっき。
夜の11時半を過ぎた頃。
只今、私の家のバスルームで、二人は生まれたままの姿になっております。
(ラブラブなシチュエーションのはずなのに、台無し)
何が台無しって、バスルームに置かれたミチルの防水時計。
さっきからミチルは時計の針ばかりチラチラ気にしてる。
(ちょっと、ちょっと、他に見るものないんですか!)
いやらしい所を撫でて来る手をピシャリピシャリと叩いて追い払いながら……。
ミチルはタイムリミットが気になって、気が気ではないみたい。
私のエッチな場所ばかりにしつこく手を伸ばしてくる。
(彼氏つくるときは慎重に……なんて、もし、このせいで私がずっと独身なんてことになったらどーしてくれるんだ)
(セフレなんてやっとりますが、一応、彼氏欲しくないわけじゃないんだぞ!)
あれからLINEでさんざん私にギャンギャン言われたのでウンザリのようね。
(ふーん。いいでしょう、ミチルはミチル、私は私ね)
(そっちがそういう考えなら私も好きにさせてもらうわ)
ほれほれ! 先に湯舟につかりなさいよ!
冷めちゃうでしょ!
(……いつもより、少し強め……きっとまだ、時間のこと気にしてるんだ。でも、ああっ……その強さが)
(すぐに声が出ちゃいそうになるのは、久しぶりだからだよね)
(ああ、まだお湯に入ったばかりなのに。もう、のぼせちゃいそう)
(可笑しい。本気で信じてるんだな、この慌てっぷり)
(さすがに、巧い。一回でもうトロトロに……されちゃう……)
(でも、もう一回、次、唇が重なったら、きっと、もう止められなくなっちゃう)
私、だなんて言わないでよね。今日会って来た99人の女の子たちと同じなんでしょ。
(うん、まあ、そう言うしかないわな。プレイボーイ様は心得ていらっしゃる)
(私は100人目のセフレ。私がセフレじゃなくなったら……世界は滅ぶ)
(答えて、プレイボーイさん。私と世界、どっちが大事?)
ミチルは世界を終わらせた。
100人は99人になったから。
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短編集『イマージュ』あなたが一番愛しているのは私
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