世界の中心かどこかで、何かを叫ぶ

文字数 1,433文字

それからのやりとりは要領を得ない上に長いので省略いたします。
本当に、馬鹿馬鹿しいというか、信じられないと言うか、説明するのも力が抜けるのだけれど……。
ミチルから聞き出した内容をまとめるとこう。
ミチルには本当に100人……100ちょっきりのセフレ(含私)がいた。
ヤッたことがあるとかじゃなくて、定期的に関係を持つ、要は私と同じような相手が100人。
ほとんどは大学の子たちで、少しは他の学校の子がいたみたい。
でも、まあセフレということで、近くて会いやすい子たちばかり100人だったそうな。
凄いなあ。絶倫にもほどがあると思うよ。
怒るを通り越して……っていうか、私もセフレなので怒りはなかったけど、まー呆れた。
オバちゃんお口あんぐりよ。
そして昨夜のこと、寝ようとウトウトしていたらお告げがあったのだそうだ。
「100人のセフレ全員と今日中にセックスしないと世界が終る」と。
ねぇそれ、寝ぼけてただけじゃないの?
アンタ変なキノコとか食べてんじゃないでしょうね!
ええ、言いましたとも。
他にも色々、さんざ言ってやりました。
それでも、ミチルは頑なにセカイがオワルと繰り返すだけ。
はぅー。
つまり、謎の答え合わせをすると、こういうことだった。
答えその1
ミチルは私と死ぬほどヤリたがっている。

→私が100人のセフレの内のひとりだったから。

答えその2
そのくせ、昨日は他の女とヤッていた。

→その子も100人のセフレの内のひとりだったから。
昨晩はとにかく呼び出せるだけのセフレを呼び出してとっかえひっかえのご乱交だったらしいです……。
答えその3
昨夜できないとなると、今朝にでもヤリたかった。あるいは午後にでも。

→私が100人のセフレの内のひとりだったから。
 そして今日中に全員とヤリ終われないと世界が終るから。
答えその4
しかし、それを反故にしてでも京都に行かねばならなかった。

→五人のセフレが実習で京都に来ていると知ったから。急遽、新幹線に飛び乗った。
答えその5
そして、夜12時までには必ず帰ってきて私とヤルつもり。

→じゃないと世界が終るから。
……謎は全て解けた。
解けましたけど……ウワー、コレジャナイ感がすごーい(棒)
まあ、いいか。ミチルがそう思うんなら、そうなんだろうな。
ミチルん中ではな!
私は……。
うん、それでもいいや。
だって、もうけっこう待ちきれない感じになっちゃってるしね。カラダのほーが。
……心はドン引きですけどね。
というか、病気のほうが怖いな。
でも、ミチル、けっこうそういうのに気をつけるほうなんだよね。
神経質なほどに……とは思っていたんだ。
そりゃ、普段から100人もセフレと付き合ってればそうなるか。
改めて考えてみると凄い管理能力だな。
この子の将来はどうなっちゃうのかねぇ……と、カーチャン目を細めたくなるよ。
オワった
13:24
ん? 何が?
もう世界終わったの? 早いね!
ああ、違うか、五人とヤリ終わったのね。
って、やっぱ早っ! 
いつのまに。ミチル恐るべし。
今から帰ると何時ぐらい? 駅の近くにいるの?
13:25
いや、まだ
13:26
そーか。それでも夜12時には間に合うだろう。
うん。それよりもっとずっと早いよね、きっと。
京都からなんだから。
それぐらいの時間なら。まあ、許そう。
仲直りのセックスはセカセカしたくないもんね。
うんうん。いいでしょう。世界を守るためにジュンちゃんがひと肌脱いであげましょう。待っとるよ。
はー、やれやれ。
札幌に あとひとり
13:27
……世界なんか、滅ぶといい。
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登場人物紹介

石神佳純(いしがみ・かすみ)
通称:ジュン

大学三年生。
彼氏ナシ。しかし……?

城戸充(きど・みちる)
通称:ミチル

佳純と同じゼミに在籍するイケメンプレイボーイ。
彼女ナシ。しかし……?

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