あなたが一番愛しているのは私

ミッション・リトル・ソルジャー

エピソードの総文字数=1,522文字

初めまして、佐藤クリスです。
外国の人?
彼女どー見ても日本人でしょ。
ハーフだけどね。
近所のファミレス。合流した佳純の友達とは初対面だった。
そして、その女の子はとびきりの美人だった!
佳純はなんかこう……フツーの女の子っていう可愛さなんだが、彼女はちょっと雰囲気が違った。
言う通り、完全に外見は日本人。そして大人っぽいというか……少しタレ気味の優しい目に、泣きボクロ。どこか儚げというか、線が細いというか。可愛いというよりは美人というタイプ。
中学のときの同級生なんだよ、クリスちゃんは!
(クリスちゃん……最後のを抜いたら大変なことになりそー)
俺は呑気にそんなことを考えていた。

そう、俺はまだ気づいていなかったのだ。この後に起こる大変な出来事に。
間もなく俺はダンシャリどころではない本日最大の絶望と後悔を味わうことになるのだが、このときはまだ、禁煙席に座るただの三名様だった。
高校もいっしょなの?
高校は別~。
大学でまた一緒になったの。
えっ? ガッコー俺たちといっしょなの?
そうですよー。
(笑顔の可愛いクリちゃん……)
(ダメだ。言いたくなる)
(我慢しろ。子供の頃に名前でいじめられてたりするかもしれないじゃないか)
(それにしても、これほどの女の子が俺たちと同じ学校? なんで俺、今まで知らなかった?)
学部は?
同じだよ、私たちと。
はい。
今まで全然知らなかったよ、こんな美人が一緒の学部だったなんて。
美人だなんて……嬉しいな。噂通りの方なんですねミチルさんて。
いやあ、それほどでもないよ~。
クリスちゃんはあんまり学校に来てなかったからね。
ええ、少し休みがちだったので……単位とか、もうギリギリ。
(落ち込んだ顔も可愛いクリちゃん)
(……我慢しろ。言っちゃダメ)
へー、俺も、俺も!
ミチルといっしょにすんな! クリスちゃんは体が弱くて、それでも頑張って学校に通ってんの!
遊んでばっかのミチルとは違いますぅ。
そうなんですか?
いやいやいや、濡れ衣、濡れ衣!
どこがじゃ!
ウフフ、仲がいいのね……。
(クスクス笑う、可愛いクリちゃん)
(……我慢だ)
(って、言っちまってた!)
(ま、まあ、口に出さなければいいよね)
(だいたい「クリスちゃん」て語呂がちょっと悪い。言いにくいもん)
(変な事を想像するからいけないんだ。フツーのクリちゃんでいいんだよ)
(フツーのクリちゃん……なにそれエロい)
(だあっ! 駄目駄目駄目っ! 何考えてんの、俺っ!)
あら? ミチルさん、どうかしましたか?
……してないっ! してないよっ!
何キョドってんのよ?
フフッ、可笑しい……!
あーいやーこれにはワケがあるというかナイというか……
それにワケがあるんですか?
え?
ほら、その胸ポケット……それ、歯磨きですよね?
あ……ああっ! これ? これのことね!
あー、クリスちゃん、それはねー。いじらないほうがいい所だと思うよー。
ええっ、そうなの? こんなの見たらいじらずにはいられないよ!
まーその気持ちはワカル。
……などなど、楽しいお喋りをしつつ、食事を済ませ、さて帰るのかなと俺が思い始めたとき、佳純が切り出した。
所でミチル君。キミを見込んで頼みがある。
ん、なに?
俺ってどういうわけか、悪い予感とかそーいうの、あんまり気づけないタチなんだよね……。
このときもフツーにヘラヘラと返事をしてしまっていた。
これからある任務に就いて貰いたい。
へ? 任務?
……。
(あれ? クリちゃんも「わかっているふう」だぞ)
(もしかしてコレって予定通りの流れ? お二人の間では話ついてる系?)
その任務とは……
もったいぶって言葉を切る俺の運命の女。
(なんか芝居がかってんな。任務とは?)
……ミッション・リトル・ソルジャーだ!

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