第1話 目が覚めて

文字数 1,513文字



【虹のカップとリズムと】

 金色のあくび、枕には夢のキャンディーが染みている……ふぁ、わたし何言ってるの?あほ。どうやら、今日も今日というさえずりが、鳴りやまないよう。布団から出たくない。だって、あったかいんだもの。外はいつだって不安定でルーレットみたいだし、鬼や悪魔も働いているおっかないところでしょ。はあ、生きる、生きていくって、かなり面倒くさい。いっそのこと、ニートや三年寝太郎になりたい。なんで、わたしがわざわざ悪魔達も暮らしている世界に入っていかなければならないの?あ、のんびりしすぎた。布団のなかで、くるくるくるまって、ぬいぐるみにキスをする、調和と遊戯のメルヒェンも、夜まで、おあずけか。

悪魔さん
お邪魔します。
争うつもりはないし
からかうなんて
もちろんないので
どうか、襲わないで下さい。

 さて、ベッドから降りて、制服という悪魔の仮装をして(本物の悪魔さんから、少しでも雲隠れ)、いずれわたしも仮装に慣れちゃって悪魔さんになっちゃうのかも?いや、そんなのは、まっぴらごめんだ。ちょっと可哀想だけど、悪魔さんはキモい。先ずは、水でも飲もうか。ごはんは内臓を休ませたいから、あんまり、食べたくないや。

 中学生になって思ったけど、他の小学校から来た人達が、なんか怖いというか、心がざわめく。なんだろう?波打ち際?波しぶきがおさまらない。気になる人もいるけど、まだ、何も喋れてない。まあ、こちらから話しかけないと一生縁が出来ないかもしれない、けど、まだいいや。

 今日も髪ぼっさぼさ。どうやら、制服は一昨日の美術の時間で、変な色の絵の具がついちゃて、媚(こび)りついて、とれてないみたい。さ、用を足してすっきりしたし、一階に降りて、水だけ飲んで、学校に行っちゃお。ごはんを作ってくれたお母さんには、申し訳ないけど、朝どうやっても、わたし食べれないんだよね。

 何この曲?ああBluetoothは昨日の続きか。うるさ。窓から望む太陽さんは、やけにさんさんと輝いていらっしゃるけど、太陽さんは疲れないのかな?ちゃんと休んでるの?

「ゆのん、ちゃんと朝ごはんを食べなさい」
「お母さん、ごめん。友達と途中で待ち合わせしてるから、もう行く」
「じゃあ、お弁当は忘れないでね」
「あ、ありがとう!いつも!」

 さすが、お母さん!わたし、てっきりお弁当忘れてた。グレートマザー、、それはちょっと言いすぎか。

「ゆのん、いつもありがとうございます。でしょ?」
「お母さん、いつもありがとうございます!」
「はい、それでよし!あ、なんか付いてるわよ」
「あ、それ絵の具」

 お父さんはちょっと面倒だけど、お母さんは好き。お父さんの良いところだって、わたしは知ってるけど、なんか面倒。お父さんの良いところを面と向かって言うなんて、口が裂けても言えない。

「ゆのん、ちゃんと宿題は、やれよ」
「お父さんに言われなくても、それぐらいやってる。もう小学生じゃない」
「ゆのんちゃんは、いつまで経っても、ゆ・の・ん・ち・ゃ・ん」
「うざ、ってか、キモ。もう行く」

 ふん、靴のかかと、ふんずけ過ぎた。今日も玄関を開け、門を開けたので、閉める。女よ、いざ、走れ!だなんて、女の子はできるだけ優美に歩くものです。良かった、今日は晴れていて。昨日まで続いて雨だったから、傘持ったりすると、手荷物多くなるしね。まあ、雨降らなかったら、降らなかったで、それは問題になるでしょうけど。感謝感激雨あられ。

 ぎゃあ、今日も人混み。通学路の途中に、駅があるのも、良いのか悪いのか。まあ、出かけるときや何か緊急の時もあるわけだから、近いっていうのは、あ、ぶつかられたのであります……、駅近いのやっぱ、イヤ。


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