第20話 入部届け

文字数 1,017文字

連載

【虹のカップとリズムと】

第20話 入部届け

 「ひ、広川先生!た、高野ゆのんと申します!この度サッカー部のマネージャーになりたいと思っております。雑用でもなんでもやりますので、宜しくお願い致します」
「お、高野さん、やる気いっぱいだね!やる気ってのは、意外なほど、大事なことだからね!……はい!分かりました!こちらこそ宜しくお願い致します!」
「は、はい!!」
「じゃあ、先ずはこの入部届けの用紙に書いてもらわないとね!それで、この用紙は親御さんにも書いてもらう欄があるから。あ、今日から見学だけでもする?」
「……今日!?ぜ、ぜ、是非、宜しくお願い致します」
「よし!まあ緊張しないで。サッカーのことは知ってるの?」
「サ、サッカーについては何も知りません!」
「いいね!潔く、キッパリと言ってくれて!!まあやっていくうちに覚えていくよ。とにかく、楽しんでもらいたいな。あ、うちの部活のモットーは何だと思う?」
「えっ、あ、えっと……ワンフォーオールとかですか?」
「はははっ!まあ、それも大事だが、文武両道!!どういうことか分かるかな?」
「は、はい。部活も勉強もっていう……」
「そう!そういうこと!!それじゃあ、宜しくね!!キャプテンの3年内間や2年女子マネージャーの小野には、話しておくからさ」
「あ、ありがとうございます!至らないところだらけですが、宜しくお願い致します!!」
「お!宜しくね!!」

 はあ、心臓が飛び出るかと思った。緊張というか、運命の何かが加速している感覚。何が産声を上げ加速しているのだろう。まあ、わたしは微妙に変わった。

 この微妙が大事。

 よし、これで顧問の広川先生から直接入部届けももらい、入部も認められたわけだし、確実に一歩進めた。今日から見学かぁ!まあ、周りの反応も気にならないって言ったら嘘になるけど、自分の人生は、自分で決めるの。

 本当に畏れ多いけど、この前の国語の授業の高村光太郎さまは、こんな小さなツマラナイわたしに、有り難くも預言して下さってたのよ。一隅は照らされたの。本当の本物のエッセンシャルな道は、きっと前には創られて無い。誰もが皆、人は世界で1人しかいない。

 オリジナルな道は1つだけ。
 道は後からできるもの。

 親や友達から敷かれたレールも無かったけど、わたしは、中学一年生にして、ようやく、道無き道を切り開くときがきた。全ての根源であり、総合なる父よ、わたしを満たしたまえ、この小さき道程のために。
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