第15話 帰宅部最後の帰路

文字数 1,012文字

ガチありえない……今日ハンパない!胡蝶の夢じゃないけど、やはりこ・こ・は夢の世界であって、寝ているときの夢が現実だわ。人間失敗作のわたしがありえない……推しのあの二文字を口ずさめる権利を、、本・人・から得るなんて……しかも何あの爆発的な微笑みは……。

 微笑みが爆発して
 ディストーションとリバーブが
 止まらない……
 エフェクトかかりすぎ
 やば……
 ぶっ壊れちゃった

 …ハ……ル……
 きゃあ

 みつきやことねがソフトテニス部に入るからって、わたしが入るか入らないか、迷ってたわたしが、バカみたい。そんなこと、どうだっていい。

 ハルさまのために
 わたしは命を注ぐのよ。
 ハルさまのために
 わたしは可愛いくなる……
 ハルさまのために
 わたしはハルさま好みの
 女子になる!

 この帰り道は、気持ち悪い人工的な街路樹(木が人間の都合で植えられて可哀想)は、まだ夕焼けに染まらないけれど、必ず、ハルさまと一緒に手を繋いで帰るのだから。

 ハルさまは、サッカー部だから、わたし、サッカー部のマネージャーになろ。マネージャーになって、少しでも、ハルさまのお役に立つ女子になるんだから!

 あとのことは
 どうだっていい。
 ハルさまと
 同じ高校に進学して
 同じ大学に入学して
 そして……

 あら?かわいい野良猫ちゃん。きゃあ、かわいい。何よ、この瞳。このにゃあにゃあ。ぶ・ちなところが、また、ぶ・ちアゲ

 罪な子ね
 にゃ~ん。

 野良猫って、神社の狛犬さまやお稲荷さまみたいに、生きた神獣のようなところがあるのよね。わたしは、幸か不幸かそれに気づいてしまって。

 あ、ハルさまのことを
 忘れていた。
 わたしとしたことが……
 ハルさま
 申し訳ございません。
 え、なんかわたし
 ハルさまのメイドみたい。

 メイド喫茶とかあるけど、そんじょそこらのメイドとは一緒にしないでね。わたしは違うわ。お客様でもないし、まだ友達でもないけど、知り合いレベルの極貧カースト、けど、、ハルさまだけ、ハルさまだけ。

 生涯ハルさま
 推しの女子なんだから!!

 よし、そうと決まれば、明日は、サッカー部のマネージャー枠で、入部届けを出そう……一世一代の大勝負!!この胸のドキドキは、わたしを、本当のわたしに導いてくれてるんだわ!!

 暑いなかも寒いなかも
 ハルさまと同じ空気が吸えるなんて……
 ふぅ、ふう~~!
 地球はまるごと
 不思議の国なんだわ
 わたしはアリス。
 ハルさまのなかに迷宮入り!
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