第39話 散歩

文字数 803文字

 うわ、ま、ま、まぶしい、た、太陽の光ってこんなに明るかったっけ……。はあ気持ちいい、もはや、暑いとかどうでもいい。さんさんさん。光合成って、こんなに気持ちかったかな……なんだろう、その光がもはや手のように見える。光の手がわたしに差し伸べられてるみたい。あ……、それ、エジプトのアテン神やん。もはやここは、東京や日本ではなく、テルエルアマルナ。って、何言ってるんだろうな、あたし。

 あれ?外の風をまるごと感じるの何日ぶりになるのかな……、げっ、12日ぶりか……。時間や月の最後にくる数だし、黄道12星座だし、オリュンポスの12柱や12使徒とか完全数ってやつ、それはそれなりに引きこもってたわね。はは、頭がヲタで変な方に、働きっぱなし。まあ、それもゆのんらしいといえば、ゆのんらしい。

 いつも歩いてた家の近所がね、詩による輪廻転生の効果なのか、やっぱ違ってみえる。

 空の海は青く澄んでいて、混じりけなんてない。そこに白い雲が、争わず形を変えながら、日の光と共に、和音を奏でている。風は、わたしの胸や頬に優しく遊戯して、吹き抜けながら、雀や鳩やハクセキレイの翼に自由を与えている。草の翠色は、今日も虫を育てて、木々も天に向かって走しり、豊饒(ほうじょう)なる枝葉をつけて、幹は逞(たくま)しく、あまたの命を限りなく讃美している。そうして、このアスファルトの道の途中の花壇には、季節の花、向日葵が咲いている。この向日葵には、クリュティエによる太陽神ヘリオスへの悲恋が、古来より詰まって、咲いている。

この哀れで愛らしい花は
いつまでも悲しみに縛られている
わけではないのでしょう……

はぁ……
8月に入ったんだ。

よし、なんだか近所をテキトーに散歩してたら
パワーが漲(みなぎ)ってきたのであります。。
リハビリ程度というか
もっと軽い気持ちで、外にふと
出ただけなんだけどね……
この流れてくる汗も
思っていたよりも、爽(さわ)やか。
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