第4話 不倫の名作②

文字数 1,069文字

それで、お師匠さん?

その『アンナ・カレーニナ』っていうのは?

うん。

これも19世紀。こっちはロシアのお話。

何組かの夫婦が出てくることもあって、長いお話だけど、

主役は題名の通り、アンナ。すごい美人のようだ。

小説だと、読者が自分好みの顔を想像するから、便利よね。
そのアンナは結婚しているのだけど、ある日、独身の貴族と出会ってしまう。


それで、キンダンの恋が始まるのね!
ちょっと、里佳?
まあでも、そういう事よね。

それで、その貴族、ヴロンスキーっていう名前なんだけど、

彼に恋焦がれる独身の女性がいたのに、それをふって、人妻と結ばれるの。

(どこからがR12なんだろうな……)


今の日本だと、そういうことなら離婚だ慰謝料だ、と行くのだろうけど、

19世紀のロシア、キリスト教の影響もあって、なかなか離婚は簡単ではない。

世間体って、分かるかな?

セケンテイ? 


あー、よくお母さんが、よそ様に笑われる! とか言うあれでしょ?

そうだね。凄いな、里佳ちゃんは。


それで、アンナは離婚しないまま、ヴロンスキーの子供を作ってしまう。

子供!


子供って、「作る」ものなの?


うむ……


(舞衣ちゃん、何か言って!)
里佳、それ、副住職を困らせようとしてるでしょ?


駄目よ。


結局離婚できないまま、ヴロンスキーの領地で二人は過ごすのだけど、

やっぱりすれ違いが起きる訳。

そしてアンナはヴロンスキーを疑うの。


別に女が? という風に。

うちのクラスの子にも、すぐそうやって疑うのがいるわ。


全く、聞いていてバカバカしいのよ!

(小学五年生、恐るべし)


里佳ちゃんのお話も気になるけど、

結局アンナは、列車にひかれて死ぬことを選んだ。

そうね。


あっ、そうか。


確かにさっきの『ボヴァリー夫人』と始末の付け方が同じ?

同じくらいの時期に、同じヨーロッパの中で

似た構造のお話が作られたのね。


やっぱり大人はフリンが好きなのね。


舞衣お姉ちゃんは?


キョージュとかとフリンするの?

そんなエロ教授がいるのですか!?
セクハラ教授、いや助手クラスもだけど、それはいるわね。


不倫は、うーん、どうでしょう?

私は知らないし、そうよ、里佳!

それは名誉棄損だわ。

怒った!


冗談に決まってるでしょ?


心当たりがあるの??

りかーっ!
まあまあ、舞衣さんも、落ち着いて。
そうね。



でもロシアとフランスとでは、同じキリスト教でも離婚観が違わないかしら?


えーっと、ロシアはロシア正教?

仏教界の副住職さん、詳しいこと知ってる??

次回、副住職さんがカトリックとロシア正教とを比べてみます!


参考 『アンナ・カレーニナ(上・中・下)』レフ・トルストイ作 木村浩訳 新潮文庫
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登場人物紹介

作者投影。文章修行しているつもり。

本職は、寺院の副住職(跡継ぎ)。未婚。

全く似ていませんし、職業も勿論違います。

近所の女の子。里佳。

話し相手になってくれる優しい才女。

拙作「転校したとです。」の山田さんイメージです。

舞衣。里佳の従姉。医学科の学生さん。

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