第9話 ネグレクトじゃないのか?④

文字数 1,127文字

さあ、舞衣さん、里佳ちゃん。

おさがりをどうぞ♪

あーっ。

これ、何だっけ?

湿り気の強い蒸しパンみたいなの!

里佳?

それ、美味しく無さそうに聞こえるよ。

軽羹ね。鹿児島の。

お好きですか?
大好きです。


餡子入りかしら?

こっちが餡子入りですから。


どうぞ。

ふーん。


私、どっちも食べよっ。

私も軽羹好きだし!


で、お師匠さん。続きは?

そうそう。


ボヴァリー夫妻は気分転換のため、ルーアンへオペラ見物に行くことになる。

ベルトは連れていかれていないので、多分また預けられている。

それができるのは、やっぱりすごいわ。
えっ?


ルーアンって、さっき……

さすが、よく覚えていたね。

ロドルフが行った町だよ、そこは。


でもここでは、偶然が重なり、

一人目の相手、レオンと再会してしまい、ルーアンで何度も会うようになった。

副住職さん、控えめにね。
おほん。


それでエンマはもう、お金をつぎ込むようになってね。

家に帰ってからも、レオンと会うために散財する。

それで気持ちを繋ぎとめようとする訳だ。

男女が逆なイメージもあるけれど……


あっ、日本の小説でも『紙の月』にはそんな構造があったわ……

やっぱり大人は、世界共通でフリン好きね!
夫のシャルル氏はまだ妻を疑いもしないし、

ベルトについての記載もないのだけど、

無い、ということは関心を抱いていない、ということだろう。

(誤魔化したな)


ベルトちゃん、やっぱりかわいそうね。

そしてお金の工面に困ったエンマは、

ロドルフや更に別の男性から金を引き出そうとする。


それは当然うまく行かず、ついに……。

砒素ねっ!
(そこ、R12じゃないのだろうか)


その通りです。

ベルトちゃん、ショック過ぎる……。


帰ってきたお母さんが、よそに行ってばかりで、しかも毒を自分で飲む……。

ベルトはもう死んでしまいそうな状態のエンマを見て、

もちろん心配もするが、「こわい!」と言ってしまう。

別れ際がこんな状態だ。

更にエンマの死後、ベルトは近所の薬剤師宅に預けられる。

この辺りもちょっと今の感覚では分かりにくいかもしれない。

埋葬の翌日になって呼び戻されるんだ。

合理的だとも言えるけどね。
しかもシャルルはエンマの行動を知ることになり、

借金も背負う。その疲れからか、シャルルも死んでしまう。

それを発見するのが、ベルトだ。

主人公がベルトちゃんだったら、悲しすぎるお話ね。


私だったら、グレるかもしれない。

我慢をすることは、良くないこと。


みたいな風潮は、極端に言えばこういう悲劇を生み続けます。

確かにそうね。


選択って難しいわね。

ちょっと暗くなってしまいましたね。


では、ロシアのアンナはどうだったのか。

お話していきましょう。

参考 『紙の月』角田光代作 ハルキ文庫
鹿児島銘菓「軽羹(かるかん)」

各社ありますので、是非ご賞味を!

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登場人物紹介

作者投影。文章修行しているつもり。

本職は、寺院の副住職(跡継ぎ)。未婚。

全く似ていませんし、職業も勿論違います。

近所の女の子。里佳。

話し相手になってくれる優しい才女。

拙作「転校したとです。」の山田さんイメージです。

舞衣。里佳の従姉。医学科の学生さん。

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