第9話 ネグレクトじゃないのか?④
文字数 1,127文字
あーっ。
これ、何だっけ?
湿り気の強い蒸しパンみたいなの!
里佳?
それ、美味しく無さそうに聞こえるよ。
軽羹ね。鹿児島の。
ふーん。
私、どっちも食べよっ。
私も軽羹好きだし!
で、お師匠さん。続きは?
そうそう。
ボヴァリー夫妻は気分転換のため、ルーアンへオペラ見物に行くことになる。
ベルトは連れていかれていないので、多分また預けられている。
さすが、よく覚えていたね。
ロドルフが行った町だよ、そこは。
でもここでは、偶然が重なり、
一人目の相手、レオンと再会してしまい、ルーアンで何度も会うようになった。
おほん。
それでエンマはもう、お金をつぎ込むようになってね。
家に帰ってからも、レオンと会うために散財する。
それで気持ちを繋ぎとめようとする訳だ。
男女が逆なイメージもあるけれど……
あっ、日本の小説でも『紙の月』にはそんな構造があったわ……
夫のシャルル氏はまだ妻を疑いもしないし、
ベルトについての記載もないのだけど、
無い、ということは関心を抱いていない、ということだろう。
(誤魔化したな)
ベルトちゃん、やっぱりかわいそうね。
そしてお金の工面に困ったエンマは、
ロドルフや更に別の男性から金を引き出そうとする。
それは当然うまく行かず、ついに……。
ベルトちゃん、ショック過ぎる……。
帰ってきたお母さんが、よそに行ってばかりで、しかも毒を自分で飲む……。
ベルトはもう死んでしまいそうな状態のエンマを見て、
もちろん心配もするが、「こわい!」と言ってしまう。
別れ際がこんな状態だ。
更にエンマの死後、ベルトは近所の薬剤師宅に預けられる。
この辺りもちょっと今の感覚では分かりにくいかもしれない。
埋葬の翌日になって呼び戻されるんだ。
しかもシャルルはエンマの行動を知ることになり、
借金も背負う。その疲れからか、シャルルも死んでしまう。
それを発見するのが、ベルトだ。
主人公がベルトちゃんだったら、悲しすぎるお話ね。
私だったら、グレるかもしれない。
我慢をすることは、良くないこと。
みたいな風潮は、極端に言えばこういう悲劇を生み続けます。
ちょっと暗くなってしまいましたね。
では、ロシアのアンナはどうだったのか。
お話していきましょう。
鹿児島銘菓「軽羹(かるかん)」
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