第12話 「妖怪シェアハウス」

文字数 1,288文字

お師匠さん、こんにちは!
やあ、里佳ちゃん。


ん?


何か探しているの?

えー、んー、あのー


こちらのお寺には、その、、


住めるところはありますか?

えっ?


そりゃあ、拙僧や住職はこの奥の建物で生活していますよ?

それは、知っています。


何ていうか、その……


シェア、、あ、貸家とか……


あっ。


もしかして里佳ちゃん、夜遅くのドラマを観ましたね?

さすが、お見通しですね。


それで、ちょっと……

妖怪が見えるかどうかは、貴女の心次第ですよ。


里佳ちゃん、妖怪は怖いですか?

ということは、貴女の心が弱く、穢れているのかもしれないですね(笑)?

もちろん、妖怪なんて、信じていないもん!


でも、ちょっと、怖いっていうか……


でも会ってみたいというか……

人間の心の隙を埋めたり、弱いところをさらす。

あるいは叶わぬ願いを託したり、不思議な出来事を説明する。


そういうときに、「妖怪」は使われて来たんですね。


怖い気持ちもあるはずなんだけど、

ポケモンとか妖怪ウオッチとか、夜のドラマも何か笑えてかわいい。


お母さんが子供の頃は、「ゲゲゲの鬼太郎」はもっと怖かったし、「妖怪人間ベム」とかいうアニメは不気味だったって。妖怪って、怖くなくなってしまったのかな? なんだか分からなくて。

里佳ちゃん、さすがです。

今の妖怪が怖くないのは、その通りだと拙僧も思います。

いや、怖い必要がないのかもしれません。


その流れはでも、江戸時代の見世物小屋などで既に認められていますから、

別に現代になって急に起きている話ではないんだよね。


夜遅くまで起きているのは感心しませんが、

「妖怪シェアハウス」はいかがですか?


びっくりはするけど、怖くないです。


澪ちゃんを騙す人、あ、これが実は妖怪なんだけど、

その騙すことそのものが怖いですよね。

あれは妖怪ってことにしているけど、人間がやっていることそのままなのよね。

さすがです!


シーズン1から貫かれているのは、

女性を取り巻く社会的な圧力や障害を妖怪に見立て、

それをシェアハウスの妖怪と一緒にやっつける、という図式ですよね。


あ、わかるかな?

舞衣お姉ちゃんが言ってました。


そして、副住職さんならそれも読み取っているかも、って。

(これは嘘だけど!)

そうですか。舞衣ちゃんが。うーむ。
(やっぱり「ちゃん」付けしてる!)


副住職さん、その舞衣お姉ちゃんに、「ヨメルデイズ」のこと言ってます?

そ、それは、、、


あまり言わないで欲しい、かな……

じゃあ、私にペンネーム教えてください♡
あっ!


ごめん。


塔婆を急いで書かないと行けません。

また遊びに来てください。舞衣さんにもよろしくお伝えくださいね~


テレビ朝日系土曜ナイトドラマ「妖怪シェアハウス -帰ってきたん怪ー」からの話題です。


しっかり笑いながらも社会的に抉る姿勢が素晴らしい♪

参考文献 

香川雅信『江戸の妖怪革命』(角川ソフィア文庫)

澪ちゃん、ライター目指してるのよね。今週(5月21日放送)のゴーストライターネタなんて、泣けてくるわ。お師匠さんも、ああいう世界に憧れてるのかなあ……
という点も含め、NOVELDAYSの皆さんも、楽しめるのではないかと思います。(2022年5月21日追記)
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登場人物紹介

作者投影。文章修行しているつもり。

本職は、寺院の副住職(跡継ぎ)。未婚。

全く似ていませんし、職業も勿論違います。

近所の女の子。里佳。

話し相手になってくれる優しい才女。

拙作「転校したとです。」の山田さんイメージです。

舞衣。里佳の従姉。医学科の学生さん。

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