第5話 不倫の名作③

文字数 1,149文字

いや、拙僧は…


ご存じの通り、離婚の前提になる結婚もしたことがないのでねえ。

まあ、そうよね。
ただ、ちょっと調べたことはあるのですよ。


カトリックは離婚できない、っていうのはよく言われますね。

教会のルールと国家のルールがとあって、

教会のルールでは、離婚という考え方自体をあり得ないものとしている。


国のルールとしては、離婚しても問題ないけれど、

信仰というものを持つと、なかなかね。


それでフランスはそもそも結婚という選択をしないカップルが多い。


里佳ちゃん、分かる?



なんとなく。


本音と建て前、みたいな?

なんか違うけど、基準が二つあるっていうのは、そうね。
それで、カトリックだと神、実際は教会なのだろうけれど、

そこの許可があれば結婚を無効にできる。

離婚、ではなくて、なかったもの、とする。


結構時間や手間がかかるらしい。


(参考)

HP

カトリックにおける結婚・離婚

(気ままにカトリック生活)


それそれ。


地元の友達なんかの結婚式に行ったことはあるけど、

キリスト教でやって大丈夫? 

って思うことは、実はある。


まあ、盛り上がっている時に離婚とか考えないもんね。

(おお、里佳ちゃん……)


実は、仏教寺院でも結婚式、できるんですけどね。
まあ、イメージがね。
お寺で結婚式?!


なんかカッコいいかも!

じゃあ、里佳ちゃん、将来の予約を自坊でしておこうか?
お師匠さんが、誰かと先に結婚式を挙げてからね。


どんなのか、見てみたい!

うむ……


まあ……


(舞衣をチラ見)

で、ロシア正教は?
ロシア正教でも、原則は同じようだが、

アンナのような例は、作品中でも離婚可能なようだ。


現代の情報だけど

どちらかが浮気した場合は、婚姻が成立していなかった、と見なされる。


(参考)

HP

ロシアの結婚と離婚

(ロシア・ビヨンド)



おそらくカトリックよりは認められやすいのではないかな?


確かに、アンナは離婚をしたがっていたわね。


結局あんまり違いが分からないけど、フランスの方が難しい訳ね。


あ!

もしかして『ボヴァリー夫人』の方は、

夫が気付かない設定にして、

作者がこの離婚問題を避けたのかしら?

それは面白い視点ですね。


フランスでそっちの話に持って行くと、そのことだけで何ページも費やしそうです。

ねえ?


この人たちに子どもはいなかったの?


こんなんじゃ、可哀想……

素晴らしい!


子どもの扱いについては、もう一つの作品も絡めたいね。

さすがは里佳ちゃん!


これまた十九世紀の、

今度はアメリカを舞台にした『風と共に去りぬ』という長編があるのだけど、

この主人公の女性は結婚を何度かして、子どもも出来るのだけど、


副住職、落ち着いて。


『風と共に去りぬ』は二十世紀になってから書かれていて、

しかもアメリカだからちょっと比較しにくいけど、

確かに面白そうね。

次回は、スカーレットも交え、彼女たちの子どもにスポット!
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登場人物紹介

作者投影。文章修行しているつもり。

本職は、寺院の副住職(跡継ぎ)。未婚。

全く似ていませんし、職業も勿論違います。

近所の女の子。里佳。

話し相手になってくれる優しい才女。

拙作「転校したとです。」の山田さんイメージです。

舞衣。里佳の従姉。医学科の学生さん。

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