第7話 ネグレクトじゃないのか?②

文字数 1,348文字

それで、スカーレットは?
いろいろ大変な時代ではあるのだけど、妹の恋人と再婚するんだ。

そして、エラという女の子を授かる。

(スカーレットの略奪ぶりや事業の展開を読むと、

これぞアメリカという国家の姿だなあ、と思うけれど、

それは黙っておこう)

スカーレットは、女性実業家として活躍する。

会社は大きくなって、なんとアシュレも雇ってしまうの。

高校の頃、読んでいて痛快だったわ。

ふーん。


それじゃあ、きっとそのエラも寂しい思いをしているってことよね。

母親が子育てを担わなければならない、とは思わないけれど……。


「風と共に去りぬ」の時代、アメリカ南部でもスカーレットへの風当たりは強かったろうね。

でもそのフランク、これが二番目の夫の名前だけれど、

この人も死んでしまう。

つまり、スカーレットは二人の子供を連れて、再び未亡人よ。

かわいそうね。


フリンの結果ではないから、

ボヴァリーさんや、アンナとはまた違うよね。

確かに、スカーレットは子どもに関心が薄いのだけれど、

離れ離れにはなっていない。


鋭いね。

スカーレットは、三回目の結婚でボニーという女の子を産んだ。

この子には他の二人よりは、愛情を注げているようだけど、

夫のレットがそれを圧倒するくらい溺愛するから、どうもうまくいかない。


溺愛、分かる?

(副住職さんは、舞衣おねえちゃんを?)


好き過ぎて、すごくかわいがるんでしょ?

さすがだね。


しかもそのボニーは馬から落ちて死んでしまい、

夫のレットは出て行ってしまう。


なかなかスカーレットもつらい人生が続く。

そして話が終わる。

結構ワクワクして読んだし、女子に勇気を与える話だと思ったけど、

副住職のまとめ方だと希望のないお話だわね……。

えっ?


面白そうじゃない。

私は読みたいと思ったわ。

物語はいろんな要素が入ってくるから、何に注目するかで印象が全く変わるよね。


だから、時間を置いて読み直しても面白いんだ。

背景として、スカーレットの一回目、二回目の結婚は、

好きな相手とは言えない男性とのものだった。


この物語で拙僧が思ったのは、スカーレットは自分の産んだ子、ではなくて

愛する男性の子どもならば可愛いのだろう、ということ。


さっきも言ったけれど、現代の残酷な事件の深層に繋がっているような気がするのですよ。

……

副住職さん、ちょっとその先はきついかも。




ああ、里佳。


「風と共に去りぬ」はラストが有名な一文なのよ。

拙僧にとってはね……


最後の一文で有名な

Tomorrow is another day、「明日は明日の風が吹く」なんて訳されるけど、

これは拙僧が俗世で肩入れしているベイスターズの元監督が、

敗戦の後に必ず言っていたセリフでねえ……


どうにもつらいのだが。

監督さんが替わっても、六位だったよね?

副住職さん、それは関係ないから。


里佳も悪ノリしないの。

副住職さんのベイスターズ愛はマジだから、泣いちゃうかもよ?

そうでした。

(うるっ)

さすが、舞衣ちゃ…舞衣さん。有り難うございます。




問題は、そんな境遇のスカーレットはしかし、不倫関係はなく

(実は危ないところもあるが、それは置いておこう)

子どもと一緒に暮らしていた、というところ。


では、家から出ていったアンナや、

ふらふらしているエンマ・ボヴァリーは子どもとどう向き合ったか?

というところを確認してみようね。

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登場人物紹介

作者投影。文章修行しているつもり。

本職は、寺院の副住職(跡継ぎ)。未婚。

全く似ていませんし、職業も勿論違います。

近所の女の子。里佳。

話し相手になってくれる優しい才女。

拙作「転校したとです。」の山田さんイメージです。

舞衣。里佳の従姉。医学科の学生さん。

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