第17話 部活と親の関係⑤

文字数 1,307文字

さて、お茶を飲みながら……


ちょっと話は戻るんだけど、イガラシキャプテンになって、

墨谷二中は全国制覇を狙うしかないという存在になっている。

小学生時代から活躍している生徒が、越境入学までしてくる。


キャプテンとしては、是非とも全国制覇を成し遂げたい。

だから猛練習をする。


別におかしなところはないよね?

まあ、そうですよね。


大変そうだけど。

ところが、人数が増えればいろんな人が集まってくる。


そして、このマンガを拙僧が是非取り上げようと思った一番の場面、ここからなのですが、

お勉強との兼ね合いに関して、親が口を出してくるんだ。

昭和四十年代後半、世は「受験戦争」が盛んになり、「教育ママ」が話題になっている。


何か、起こる訳ですね。
練習に遅刻した一年生、松尾くんといいますが、

彼が母親と一緒にグラウンドに現れました。



(ズズズ……)


ふんふん。



練習が学業の妨げになっていはいけない、ということで、

自分の子だけは正規の練習時間内に終わらせて欲しい、と提案するんだ。

それ、松尾くん本人の気持ちではない訳よね、パターンとして。
その場では何も言わないけど、まあ、そういうことだよね。
でもね、お師匠さん?


今のソフトボールチームは、早く帰る子は結構いるし、

練習に来ない曜日が決まっている子もいるよ。

まあ、塾とか、ピアノとか、他のところに行っているみたいだわ。


あ、私も金曜日は九門に行っているから、練習には行ってないですし。

まあ、それはそれで、いいとは思います。


拙僧が子どもの頃も、そういう子はいましたが、

何と言うかな、バツが悪いっていいますか、練習に出ない後ろめたさはありましたね。

それで試合の時はちゃんといたりするもんだと、余計にね……。

そうか、「後ろめたい」ってそうやって使うんですね。

でも、何となくしか分かりません、その気持ち。


私達、たぶん、全然何とも思わずに休んでいます。

でも、練習にあまり来ていない子が試合に出て活躍したら悔しいです。

こういうのをきっかけに、いじめなんかも起こり得るよね。


あ、「キャプテン」では、そういうことはないですが。

何しろ松尾君は、早く帰宅するけど、自主練をしちゃっているからね。

それで実力を上げていくんだから、まあ、妬む輩もいるでしょうけど、作品中にはいません。

そこを描こうとは思わなかった訳ですね、作者さんは。

じゃあ、松尾君のお母さんは、息子に騙されてる?
そうなりますね。


それがバレるきっかけになったのが、野球部の保護者会だ。

実は墨谷二中、その猛練習でケガ人続出、と新聞に書かれてしまったんだ。

この辺り、とても現実世界では中学野球部のこととは思えないんだけど、ね。


それで緊急の保護者会が開かれる。

この時に近藤の父親や松尾の母親がやってくる。

でもイガラシの親は、兄弟二人が部員だけど、参加していない。


食堂が忙しいのよね、きっと。
校長先生は、生徒が自主的に目標に向かって練習することを称賛している。

でも、松尾君のお母さんは、学業が疎かになるのは許せない。

ここで先生から、イガラシキャプテンは学年十番前後をキープしているという話が出る。

かっこいい!


そして松尾ママ、やられたわね!!

しかし、そう簡単に解決はしない……。
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登場人物紹介

作者投影。文章修行しているつもり。

本職は、寺院の副住職(跡継ぎ)。未婚。

全く似ていませんし、職業も勿論違います。

近所の女の子。里佳。

話し相手になってくれる優しい才女。

拙作「転校したとです。」の山田さんイメージです。

舞衣。里佳の従姉。医学科の学生さん。

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