【弐拾】哀惜ーー涙の果てに
文字数 429文字
弓永によると、事件があったのは数日前の夜。美沙が鈴木兄妹の部屋を訪れた最後の日の夜のことで、美沙は制服姿で人気のない河川敷にひとり倒れていたという。検案結果によれば、衣服の乱れや性器の傷つきようから暴行に遭い、そのまま――とのことだった。
「おれ、明日、非番でな。しかも、たまたま通夜の日取りも明日なんだ。連れてってやるから、お前も一緒にこい。あの子とは、友達だったんだろ?」
祐太朗は擦れた声で弓永の申し出を受け止めた。
「勘違いするな。見にいくだけだ。おれは警官だからまだしも、お前みたいなどこの馬の骨ともわからないようなチンピラが焼香なんかできると思うなよ」
「……そんなことはわかってる」祐太朗は声を振り絞っていった。
弓永は、通夜の一時間前に車で迎えにいくと告げ、電話を切った。
祐太朗は静かに電話を置いた。詩織が祐太朗を心配そうに見つめていた。
事情を話すと、詩織は声を上げて泣いた。
祐太朗は拳をグッと握り締めた。
「おれ、明日、非番でな。しかも、たまたま通夜の日取りも明日なんだ。連れてってやるから、お前も一緒にこい。あの子とは、友達だったんだろ?」
祐太朗は擦れた声で弓永の申し出を受け止めた。
「勘違いするな。見にいくだけだ。おれは警官だからまだしも、お前みたいなどこの馬の骨ともわからないようなチンピラが焼香なんかできると思うなよ」
「……そんなことはわかってる」祐太朗は声を振り絞っていった。
弓永は、通夜の一時間前に車で迎えにいくと告げ、電話を切った。
祐太朗は静かに電話を置いた。詩織が祐太朗を心配そうに見つめていた。
事情を話すと、詩織は声を上げて泣いた。
祐太朗は拳をグッと握り締めた。