【拾捌】造反ーー悲しみの果てに

文字数 773文字

「どうしたんだよ?」美沙を出迎えたのは祐太朗だった。

「学校、イヤになっちゃった」あっけらかんとした口調で美沙は答える。

「イヤになっちゃったって……、まぁ、いい。入れよ」

 室内に詩織の姿はなかった。何でも、今は用事で外に出ているらしい。

美沙がソファに掛ける。祐太朗はキッチンの冷蔵庫を開けた。

「何か飲むか?」

「じゃあ、ビール」

 勢いよく冷蔵庫を閉める祐太朗――冷ややかな視線を美沙に浴びせる。

「ふざけんな。お前みたいなガキにアルコールなんか三年早い。炭酸で我慢しろ」

「何、わたしが子供だっていうの?」

 祐太朗に詰め寄る美沙。が、祐太朗は揺るがない。

「あんまり子供扱いしないで。わたしだって――」

 突然、美沙が祐太朗の唇にキスをした。祐太朗の顔に動揺が走った。

美沙は恥じらいながら唇を離し、俯き加減に髪を右耳に掛けた。

「こんなことだって、できるんだから……」

「お前……、馬鹿じゃねえか? おれみたいなクズ相手に自分を安売り――」

「安売りなんかしてない! わたし――」

「もういい、帰れ」

「……帰りたくない」

「帰れよ。二度とここにはくるな。ここは、人の怒りと悲しみと、怨念が渦巻く地獄の一丁目。お前みたいな未来あるガキがハッピーになれるような場所じゃねえんだよ」

「……いやだ」

「ダメだ」

「祐太朗はクズなんかじゃないモン……」

「こんな人を殺して金を得ているギャンブル中毒の穀潰しがクズじゃないなんて、世迷いごともいい所だ。お前みたいなまっさらなカンバスみたいなガキはとっとと消えて失せろ」

 美沙は涙を流しながら祐太朗を睨みつけた。が、祐太朗はまったく動じない。

美沙は泣きながら部屋を後にした。

「祐太朗の馬鹿!」そういい残して。
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登場人物紹介

名前?ーー祐太朗、鈴木祐太朗。

何度も訊くな、マヌケ。

ご無沙汰してます、鈴木詩織です!


あたし個人のことは前回の事件で紹介しましたから割愛しますねぇ!


今回はあまり出番はないかなぁ……


でも、ユウくんも弓永さんも頑張ってるから、今回もよろしくねぇ!

大原美沙でぇす!


17歳、五村城南高校の三年生です!


学校は、、、楽しいよ!友達もいるし、成績は、、、まぁまぁかなwww


好きな物、、、うーん、流行り物には目がないかなぁ?


最近はちょっと疲れてるかも。。。


よろしくね!

野添麻奈美です。


五村城南高校の三年生です。


成績は……、一応学年で三番以内には入っています。


美沙とは小学校からの友達ですが、最近はちょっと疎遠気味かもしれません。


でも、美沙の為ならどんなことでもするつもりです。


だって、美沙はわたしの友達だから……


よろしくお願いします。

ちょwww自己紹介だってwwwマジウケるんだけどwww


結城亜美でぇーす!


ゴムジョー(五村城南)の三年でぇーす!


あたしのことぉ?


亜美って呼んで、よろしく!


てかwww何でそんなこと話さなきゃなのwww

おう、久しぶり!


弓永龍だ。


おれのことは前回話したから別にいいよな。


まぁ、一応いっておくと五村署刑事組織犯罪対策課強行係所属で、階級は警部補だ。


あと、おれは祐太朗のことが嫌いなんで勘違いしないでくれよな。


しかし、酷え世の中になったもんだ。犯罪もどんどん悪質化してるし、親子の関係も変容しちまってよ。


ま、おれには関係ねぇか。


今回もよろしくな!

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