【弐拾四】素直になれない
文字数 869文字
「あ? 金貸せ? ふざけんな、穀潰し。お前、またギャンブルに金つぎ込むつもりだろ」
雀荘からの帰り道、弓永に電話で金の無心をすると、弓永が呆れていった。半分は正解、半分ははずれ。祐太朗はいつもの悪態を引っ込めて冷静な口調でいった。
「どうしても金がいるんだよ。ほんの少しでいい。貸してくれねえか?」
「お断りだね。大体、何でそんな金がいるんだよ。まさか、お前、あの美沙って子の復讐を代行してやろうなんて考えてんじゃねえだろうな」
ビンゴ――祐太朗は無言という形で回答した。弓永はため息をついた。
「お前の馬鹿さ加減にはほとほと呆れるよ。てか、おれの金はどうなってるんだよ?」
祐太朗は無言を貫いた。
「……擦ったのか?」
祐太朗はイエスの回答をした。
「お前は本当に馬鹿だな。……わかったよ。五〇なら都合つけてやる。その代わり、一年以内に倍にして返せ。じゃなきゃ貸さない。いいな?」
「テメエはほんと吝嗇家の鑑だな。わかったよ。でも、そんなんじゃ一生結婚できねえぞ」
「それはお互い様だ。公務員のおれならまだしも、裏稼業で食ってる無職じゃ、女も寄ってきやしない。精々、詩織さんが結婚するまでにまともな職を探すんだな。ま、無理か」
「余計なお世話なんだよ、マヌケ。……でも、すまねえな」
「やめろ。お前に感謝されると疫病に罹ったみたいになる。それとこれまでの分はいらねえ。その代わり、しっかりと金は返してもらう。まぁ、また証拠隠滅してくれっていうんだろ? その手数料はその中に入ってる。どうせ、今回はたくさん死人が出るんだろうからな。それぐらいサービスしろよ」弓永が不敵に嗤って電話を切った。
今度は詩織から電話が掛かってきた。
「お金の都合、ついたよ!」
詩織が嬉しそうにいった。が、祐太朗は訝しげに顔を顰め、
「その金、どこから引っ張り出してきた?」
「いいでしょ、そんなことは。とにかくそういうことだから。じゃあ――」
電話が切れた。祐太朗は激しく髪の毛を掻き毟った。
雀荘からの帰り道、弓永に電話で金の無心をすると、弓永が呆れていった。半分は正解、半分ははずれ。祐太朗はいつもの悪態を引っ込めて冷静な口調でいった。
「どうしても金がいるんだよ。ほんの少しでいい。貸してくれねえか?」
「お断りだね。大体、何でそんな金がいるんだよ。まさか、お前、あの美沙って子の復讐を代行してやろうなんて考えてんじゃねえだろうな」
ビンゴ――祐太朗は無言という形で回答した。弓永はため息をついた。
「お前の馬鹿さ加減にはほとほと呆れるよ。てか、おれの金はどうなってるんだよ?」
祐太朗は無言を貫いた。
「……擦ったのか?」
祐太朗はイエスの回答をした。
「お前は本当に馬鹿だな。……わかったよ。五〇なら都合つけてやる。その代わり、一年以内に倍にして返せ。じゃなきゃ貸さない。いいな?」
「テメエはほんと吝嗇家の鑑だな。わかったよ。でも、そんなんじゃ一生結婚できねえぞ」
「それはお互い様だ。公務員のおれならまだしも、裏稼業で食ってる無職じゃ、女も寄ってきやしない。精々、詩織さんが結婚するまでにまともな職を探すんだな。ま、無理か」
「余計なお世話なんだよ、マヌケ。……でも、すまねえな」
「やめろ。お前に感謝されると疫病に罹ったみたいになる。それとこれまでの分はいらねえ。その代わり、しっかりと金は返してもらう。まぁ、また証拠隠滅してくれっていうんだろ? その手数料はその中に入ってる。どうせ、今回はたくさん死人が出るんだろうからな。それぐらいサービスしろよ」弓永が不敵に嗤って電話を切った。
今度は詩織から電話が掛かってきた。
「お金の都合、ついたよ!」
詩織が嬉しそうにいった。が、祐太朗は訝しげに顔を顰め、
「その金、どこから引っ張り出してきた?」
「いいでしょ、そんなことは。とにかくそういうことだから。じゃあ――」
電話が切れた。祐太朗は激しく髪の毛を掻き毟った。