第14話 マギーの秘密

文字数 623文字

「開いたぞ」ヤマトの言葉にマーサは我に返った。

 マーサは改めて三人を見た。口は悪いが頼りになるロッコ。無口だが饒舌になると説得力がでるヤマト。そして探求心多めな美しき森の狩人、シルヴィア。どこか可笑しくて憎めない仲間たち。

「何を笑っているんだ」ロッコがにやけているマーサを気味悪そうに眺めた。
「何でもないわ。そういえばロッコ、あなたに訊きたい事があったんだけど」
「何だ?」
「マギーって一体何者なの? あなたほどの戦士でも恐れるような人なの?」
「何だ、お前。何も知らないのか」ロッコが呆れたように言った。

「最初のギルドが設立されたのは三百年ほど前か。その設立された当初、初めて冒険者として認定された四人組のパーティー、そのうちの一人があの女だ。当時はダンジョンの数も多くなかったらしいが、潜れば出てくるモンスターは強力な奴らばかりで、今とは比べ物にならなかったらしい」

 ロッコが内緒話をするように口に手を当てた。「あの女、オーガ四体を一人で皆殺しにしたらしいぞ。それもウォーハンマー一本で。仲間を逃すため一人でその場に残り、さらに襲い掛かってくるオーク達を完膚なきまで叩き潰したらしい」

 マーサは今の姿からは想像もできない彼女の一面を聞いて、背筋が凍る思いがした。

 ロッコが話を続ける。「まあ、話なんてもんは尾ひれがつくからな。どこまで本当の事かは分らんが。俺がガキの頃は親からよく言われたもんだ。悪い子にしてるとマギーがブチ殺しに来るぞってな」 

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