ルゥナ外伝 めぐり逢い
文字数 346文字
七月も半ばを過ぎた学校帰りの夕刻だった。俄かに降り始めた雨の中を高台の住宅地に帰る僕は、遠く西の空に沸く入道雲を眺めながら自転車を急がせていた。
坂の途中の公園に学生服姿の女子が一人立っていた。同じ学年か年下なら声を掛けなかっただろう。後姿の佇まいに気圧されたのに引き寄せられるように申し出ていた。
振り返った色白の目鼻立ちの整った長い髪の学生は、同じぐらいの背丈があった。
「‥‥あら、貸して頂けるの。」
静かな綺麗な声音よりも、吸い込まれそうに煌く大きな瞳に僕は、息を呑んだ。
「ご厚意は、有難くお受けします。」
時代がかった上品な物言いに僕は、驚き身構えていた。見かけない学生だった。進学校で有名な学生服は、この界隈で珍しかった。僕は、傘を預けて急かされるように離れた。
坂の途中の公園に学生服姿の女子が一人立っていた。同じ学年か年下なら声を掛けなかっただろう。後姿の佇まいに気圧されたのに引き寄せられるように申し出ていた。
振り返った色白の目鼻立ちの整った長い髪の学生は、同じぐらいの背丈があった。
「‥‥あら、貸して頂けるの。」
静かな綺麗な声音よりも、吸い込まれそうに煌く大きな瞳に僕は、息を呑んだ。
「ご厚意は、有難くお受けします。」
時代がかった上品な物言いに僕は、驚き身構えていた。見かけない学生だった。進学校で有名な学生服は、この界隈で珍しかった。僕は、傘を預けて急かされるように離れた。