不思議な畑(5)
文字数 1,094文字
食事の後、疲れが出たのか、気分の優れなくなった僕は、座布団を枕に早めに横になることにした。村長夫妻も「そう云うことならば」と言って、二人して早々に家に帰ってくれる。今井巡査もまだ眠くはなさそうだったが、僕の為に電灯を消し、そこに座った状態で寝ずの番をしてくれるとのことであった。
その日、僕は夢を見た。それは恐らく夢だったのだと思う……。
耀子先輩が何者かに捕らえられて、僕に助けを求めている。なぜか分からないが、彼女の無敵の力は全て奪われて、僕が来なければその力を復活させることが出来ないのだ。
僕は必死になって彼女の所に向かおうとする。しかし、それは叶わない。不思議な迷宮に阻まれて、僕はどうにも彼女に逢うことが出来ないのだ。それに、いくつかある扉の一つを選ぶと、それは必ず誤った道に続いていて、より一層の迷宮へと誘われてしまうのである。
それでも何とか僕は彼女の元に辿り着く。
彼女は裸の上に直接ケナフでおられた貫頭衣を身に着けていて僕に微笑んでいた。
その彼女に僕は近づいていくのだが、近づくにつれ彼女の瞳は縦に細くなり、笑顔の口元は笑ったまま、どんどん横に広がって耳まで裂けて行く。そして、鋭い牙が上あごから二本飛び出し、先の二又に割れた舌がチュルチュルと出たり入ったりを繰り返す。
僕が驚き凝視すると、彼女の髪は全てエメラルド色に輝く毒蛇へと換わっていて、彼女の背中からは黒光りする細長い翼竜の羽根が、左右に六本、三対も生えていた。
その恐ろしさに僕は足を止めるのだが、彼女に近づく速度は変わらない。彼女の方が僕に滑る様に近づいて来ていたのだ。
そして、僕を抱きとめた彼女は、僕の顔を見てにっこりと笑い、次の瞬間、大きな口を開けて僕の首筋にガブリと噛みつく……。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
僕は自分の叫び声で目を醒ました。
その声に驚いたのか、今井巡査が僕に声を掛けてくれる。
「どうしたんだい?」
「済みません……。怖い夢を見て、魘されてしまったようです」
今井巡査の声に、恥ずかしくなった僕は、「喉が渇いたので水を飲んできます」と言って、その場を離れた。
事実、喉はヒリヒリする程渇いていたし、体中に脂汗が纏わり付いていたので、涼んで汗も引かせたかったのだ。
洗面所で三杯水を飲んでから、僕はバシャバシャと顔を洗った。
窓の外を眺めると、窓枠の中だけでも都会の空の何倍もの数の星々が、赤や青、白く輝いて夜空を彩っている。
しかし、何かが変だ……。
なんと、星たちが3~4個単位のグループを構成して、グルグルと遊園地のメリーゴーランドかティーカップの様に、旋回し始めたのである。
その日、僕は夢を見た。それは恐らく夢だったのだと思う……。
耀子先輩が何者かに捕らえられて、僕に助けを求めている。なぜか分からないが、彼女の無敵の力は全て奪われて、僕が来なければその力を復活させることが出来ないのだ。
僕は必死になって彼女の所に向かおうとする。しかし、それは叶わない。不思議な迷宮に阻まれて、僕はどうにも彼女に逢うことが出来ないのだ。それに、いくつかある扉の一つを選ぶと、それは必ず誤った道に続いていて、より一層の迷宮へと誘われてしまうのである。
それでも何とか僕は彼女の元に辿り着く。
彼女は裸の上に直接ケナフでおられた貫頭衣を身に着けていて僕に微笑んでいた。
その彼女に僕は近づいていくのだが、近づくにつれ彼女の瞳は縦に細くなり、笑顔の口元は笑ったまま、どんどん横に広がって耳まで裂けて行く。そして、鋭い牙が上あごから二本飛び出し、先の二又に割れた舌がチュルチュルと出たり入ったりを繰り返す。
僕が驚き凝視すると、彼女の髪は全てエメラルド色に輝く毒蛇へと換わっていて、彼女の背中からは黒光りする細長い翼竜の羽根が、左右に六本、三対も生えていた。
その恐ろしさに僕は足を止めるのだが、彼女に近づく速度は変わらない。彼女の方が僕に滑る様に近づいて来ていたのだ。
そして、僕を抱きとめた彼女は、僕の顔を見てにっこりと笑い、次の瞬間、大きな口を開けて僕の首筋にガブリと噛みつく……。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
僕は自分の叫び声で目を醒ました。
その声に驚いたのか、今井巡査が僕に声を掛けてくれる。
「どうしたんだい?」
「済みません……。怖い夢を見て、魘されてしまったようです」
今井巡査の声に、恥ずかしくなった僕は、「喉が渇いたので水を飲んできます」と言って、その場を離れた。
事実、喉はヒリヒリする程渇いていたし、体中に脂汗が纏わり付いていたので、涼んで汗も引かせたかったのだ。
洗面所で三杯水を飲んでから、僕はバシャバシャと顔を洗った。
窓の外を眺めると、窓枠の中だけでも都会の空の何倍もの数の星々が、赤や青、白く輝いて夜空を彩っている。
しかし、何かが変だ……。
なんと、星たちが3~4個単位のグループを構成して、グルグルと遊園地のメリーゴーランドかティーカップの様に、旋回し始めたのである。