グループワークで陰キャぶりを発動する高等遊民様

文字数 867文字

高等遊民様の着ぐるみの中の人は、会社が知らぬ間に申し込んだ
「20代で身につけておくべきビジネスマインド」というセミナーに出席してきた。

駅の構内とつながるオフィスビルに、セミナーを主催する経営コンサルティング会社がある。
会場は4人掛けのテーブルが8席用意され、
セミナーの参加者同士が、向かい合ってグループワークができる配置になっている。
出席者は30名ほど、全員が20代。

お気づきかと存じますが、高等遊民様はこういうワークショップのような活動がかなり苦手。

高等遊民様のテーブルには、
髪の毛をセットしたスーツ姿のいかにも営業マンというイケイケの男性(イケメン)と、
放射線技師資格のある20代半ばの私服の女性(器量の良い女性)、
メーカーで経理を担当しているという私服の20代前半の女性(こちらの方も器量が良い)、
そして、髪の毛に寝癖がついたまま、ブレザー姿で、
セミナー休憩時間は人文書院のサルトル『嘔吐』を読む、陰キャの私という座席図。

セミナーの最初に、それではグループでじゃんけんをして勝った人から、
時計回りで1人2分間自己紹介をしてくださいと講師に促され、当惑する高等遊民様。
何でこんな時に限って、グーで勝っちゃうのかなあ・・・。

それで、当方はセミナー講師のお題通り、
仕事上での失敗エピソードを交えて自己紹介をしたが、
いきなり失敗エピソードに与信管理で外国の会社が倒産し、
3億円の貸倒引当金を計上した話という笑うに笑えない失敗話をして滑り、
しかもその後もまとまりのない自己紹介をし、
話し終えた後、自分の持ち時間が30秒も余っていることに気づく。

隣の20代前半の女性に趣味は何ですか?と促される始末。
ああ、どうして私は自己紹介もまともにできないんだろう。

そしてセミナー休憩中も、向かいの営業マンの男性と隣の女性は、
楽しい会話・雑談をしているのを目の前にしながら、
私はサルトルの『嘔吐』を読む(隣の女性はスマホを操作)という
シュールな光景が広がっていました。

やっぱりこういう場、すごい苦手。
いくつになっても。
共感してくれる方、いるかな・・・。
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