銀行と担保の実際のお話

文字数 686文字

高等遊民様の着ぐるみの中の人は、
会社内で結構、法律相談を受ける。

今回の相談内容は、ある経営者の方が有担保(持ち家)・有保証で
銀行から借り入れを行っているが、
会社の経営が悪化し、自己破産を申し出るというもの。

その際、自分の持ち家を借金のかたに持って行かれたくないため、
破産手続開始前に、自分の持ち家を売却して金銭に換価し、
抵当権を抹消するという内容。

債権者である銀行としては、抵当権を設定した資産が、
破産するかもしれない債務者の手によって処分されるのだから、
詐欺行為だと非難しても仕方のない事案だろう。

ひょっとすると、この記事を閲覧している銀行勤務の方がいれば、
具体的な場面を思い起こしながら見てくださっているのかも知れない。

一応、法律上は、
抵当権のついた物件を処分することは可能で、
売却額が債務の額を上回れば、抵当権を外すことができ、
詐欺行為には当たらない。

では、もし抵当権付物件を処分した際、
換価額が債務の額を上回ることができなかった場合には、
銀行は債務者を訴えるのかというとそうでもないらしい。

銀行は、一応、社会インフラとしての役回りを意識してか、
債務者が抵当権付物件を売却し、その額が債務の額を下回ったとしても、
債務者を訴えることもせず、また残りの債務を回収しようと、抵当権を行使することはなく、
反対に抵当権の消滅を認めるというものだった。

ナニワ金融道の世界のように、
貸した金が返せないなら、ケツの毛までむしり取られる血なまぐさい世界かと思ったら、
現実はそうでもないらしい。

銀行出身の同僚とのお話。
ディープなお話が聞けて、事業会社しか経験のない私には大変勉強になる。
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