第18話 暦の歴史?

文字数 954文字

ここでもコンスタンティノープル陥落が1453年だとか、第二次ウィーン包囲が1683年だとか言っていますが、これらは西暦(グレゴリオ暦)の表記ですね。
多言語のオスマン・カレンダー1911:US public domain
そう。現在、大多数の国ではグレゴリオ暦を公式暦として採用しているけれど、伝統的には各国独自の暦を持っていた。日本でも明治の改暦までは、太陰太陽暦を使っていただろう?ただ今でも祝日や宗教生活については、旧暦に基づいて決められていることが多い。
イスラム圏で用いられている暦といえば、ヒジュラ暦です。
ヒジュラ暦は月の運行に基づく太陰暦だ。一ヵ月は29日から30日で構成され、一年は十二ヶ月で354日から355日。各国でバリエーションがあって、宗教的祝日と言っても、同じ日付けになるとは限らない。
ヒジュラ暦では、一日が日没から始まるのも特徴です。では、オスマン帝国もヒジュラ暦を採用していたかといえば、違うんですよね…
うん。帝国が使っていたのはルーミー暦だ。1255年から導入された、春分の日を元日とする太陽暦なんだよ。
『ルーミー』というのは、ローマの意味です。ローマ帝国のユリウス暦が元になっているんですね。ユリウス暦はカエサルによって前45年に採用されて、回帰年は365日と1/4です。
トルコでは二十世紀の初め、元日がグレゴリオ暦と同じになるよう調整された。今現在ルーミー暦プラス584年で西暦に換算できることになっている。
俺たちの時は丁度、ロシアが改暦しましたね。もともと世界創造を紀元としていましたが、キリストの生誕年を紀元として、西側諸国と調整しようとしました。ロシア暦7208年12月31日の次の日が、1700年1月1日です。
グレゴリオ暦はローマ教皇グレゴリウス十三世が先鞭をとったもので、カソリック諸国では十六世紀後半から、新教諸国は遅れて十七世紀以降、イギリス・スウェーデンに至っては十八世紀半ばにやっと導入された。
正教会諸国は二十世紀初頭までユリウス暦を使っていました。
暦って自然の事象に基づいているかと思えば、すごく宗教的・政治的なんだよなあ。この話題、面白いの?
国が変われば、年や日付も違うんですからね…そうやって考えると、「歴史」って唯一の時間軸に沿ったものではないのかも。
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