第6話 サライのハレムー彼女たちは割拠する

文字数 1,528文字

ハレムについてはトルコのテレビドラマ『オスマン帝国○伝』を見て戴ければ一目瞭然かと…

*今回の話には残酷表現が含まれます、ご注意下さい

はっは、手抜きだな!まあ、ハレム(後宮)については、中国歴代王朝のものも、日本の大奥も、ドラマや漫画や小説の題材としてよく扱われているからなあ。陰謀と女の戦いだ。ここではそういう話ではなくて、帝国におけるハレムの役割について、ちょっとだけ紹介するぞ。でもあくまでも作者の解釈だがな!
よく言われていますが、ハレムの女性でスルタンと“結婚“したのは、ヒュッレム(スレイマン一世妃)が最初なのですね。なんだか違和感を覚えますが、スルタンは元来“結婚“しないものなんです。帝国に王妃というものは存在しなくて、王の母、王の子どもを産んだ女性が権力を持ちます。スルタンの子供を産むことに身分は関係無く、ヒュッレムもウクライナから連れてこられた奴隷でした。
そうなんだよなあ。女性の身分は関係無いというもう一つの例は、あのコンスタンティノープルを陥落したムスタファ二世で、実母に関してほとんど史料が残っていない。やはり奴隷身分の女性だったらしいが、早くに亡くなったみたいでな。ある意味酷いが、重要なのは王の血で、母親には相当の地位と給料が支払われるものの、王の一族に参与する訳ではないんだ。
…家族なのにね。いや、家族じゃないのか…これもよく知られていますね、『オスマン王家の兄弟殺し』
バヤズィト一世が王位を得た後に、兄弟を皆殺しにしてから始まったと言われているな。兄弟が争って国土を分割しないようにするためらしい。または、王位簒奪の危険性を削ぐか。実行するスルタンもいたし、回避しようとするスルタンもいた。王の男兄弟は終生サライのハレムで暮らすようになった。まあ、軟禁だ、要するに。
それが『黄金の鳥籠』と言われる由縁なのですね。そして、ハレムから何十年も出たことのない王子が即位することで、側近たちの権限が増大することにもなりました。
王の男性親族たちはハレムから出られないのに対して、女性親族と母親たちはアクティブだった。ハレムには女学校もあって、女性たちも高度な教育を受けられたから、王の信頼を得た女性たちは、諸外国の王族や貴族と私的なやりとりもしていた。もともと外国から連れてこられた女性が多いからな、母国とのネットワークが築き易い。
凄いですよね…お給料を貰って働く才媛の集まりっていう感じです。ハレムの女官たちも優秀だし。
有力な一族の娘たちは、王の側に上がるため、というより、教育と礼儀作法見習いのために女官としてハレムへ勤めていたらしい。
王の子供を産まなかった女性や、王族との間に子供をもうけても、その相手が失脚してしまった場合はどうなるのですか?
結構な人数の女性がハレムから出て、他の家へ嫁いでいる。母国へ戻る女性たちもいる。それでも行き場のなくなってしまった女性には、『嘆きの家』がある。年金をもらって、慎ましく生涯を終える…
ヨーロッパの王族の家族制度とは大分違いますよね。まずスルタンは結婚しないんですけどね…母親側の血統は重視されないので、政略結婚というのも基本的には無いですし。ハレムの女性たちはヨーロッパ・アナトリア全域から集められるので、当時のオスマン家は恐らく世界で最も多民族が混血した一族だったのかもしれません。それに血縁の近い者同士で結婚することもなかったので、所謂“ハプスブルグ病“からも縁遠かった。
彼女たちは、ハレムの窓辺から世界を見ているんだ。サライよりも、コンスタンティニエよりも、遥かはるか遠くと繋がっていたんだよ。
と、まとまったところで、次回はこのハレムから波乱万丈の人生を送ったある女性のお話です。
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